スケバハゴロモ
暮らしとの関わり
 子どもの頃からベッコウハゴロモと共に目にしたことのある昆虫である。ほんの1cmほどの昆虫であるがよく見るとセミ似ていたことが興味をひいたのであろう。
 また、幼虫はもカイコのえさとなるクワの木の葉や枝についていたので見た記憶はある。
 しかし、それがハゴロモ類の幼虫であることは知らないばかりか、それが昆虫であることなど夢にも思ってみなかった。
 カイコのクワ切りをするときや、桑いちごを探すときなど目にすると有毒なカビにでも出会ったように避けたものであった。
 家人も、カイコにハゴロモの幼虫がついたままの桑を与えると病気になるいい、ハゴロモの幼虫をよく振るい落としてから与えていた。
 余談となるが、カイコが終齢近くなってから病気で全滅することもあったが、変形したカイコを手桶に何杯も川に持って行って捨てる時の哀れで且つ悔しい気持ちは、今でも忘れられないほどのものであった。

写真2012.9.2下石黒 政栄


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写真2012.9.2下石黒 政栄

解 説
ガ科
 本州から四国、九州に分布。
 翅端まで9〜10mm
 黒褐色帯で縁どられた透明の翅をもつ。
 農地や明るい林縁の草むらなどで見られ、しばしばベッコウハゴロモと混生している。
 幼虫は、鮮緑色の体で、尾端にはハゴロモ類の幼虫特有の糸状のロウ物質を放射状に付けている。
 ベッコウハゴロモの幼虫は、褐色と白のマダラ模様であることで本種と区別できる。
 幼虫の体長は6〜10mmほど。
 8月頃、幼虫から成虫になり、クワウツギキイチゴ等の枝で、汁を吸う。
 名前の由来は「透翅羽衣」の意味で、スケバは成虫の翅、ハゴロモは幼虫のもつ、植物の冠毛に似た白い部分から付けられたものであろう。


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写真2012.9.2下石黒 政栄