カマドウマ(マダラカマドウマ)
暮らしとの関わり
 石黒では「シケムシ」と呼んだ。「湿気虫」の意味であろうか。石黒で、一般的な俗称「ベンジョコオロギ」という呼び名は聞いた記憶はない。
 コオロギやバッタには興味をもって近づく子どもたちも、このカマドウマだけは敬遠した。棲む場所と姿になぜか気味悪いところがあったからだろう。
 横穴などを探検すると、無数のカマドウマが飛び跳ねて体に触れると気持ち悪かったことを憶えている。
 本頁の写真は、今のところロクなものがないが筆者の山小屋には無数のカマドウマがいる。
 とくに冬期にハシゴ等を収納のために掘った横穴にはすさまじいというほどの数のカマドウマが春から夏にかけて見られる。
 また、長く使わないでおくと風呂場に数十匹のカマドウマの幼虫()が侵入して糞などで汚れるため掃除に手間取る。
 その上に、そのカマドウマを餌にするために大きなムカデがときどき風呂場に侵入してくるため油断できない。
 これほど身近にいるカマドウマだが、いざ写真撮影となると暗いところにいる上に、明るい場所に追い出すと逃げ足が速くなかなか撮影チャンスに恵まれなかった。それに、いつでも撮れるという気持ちの油断もあり今日に至った。
 今年こそは撮影したい。
昨晩(2011.1.6)、昆虫学者の山崎柄根さんの「カマドウマ−人類が家を持ってからのつきあい」を読んでクラズミウマという種ではないか、と思ったので今後調べて見たいと思う。

(写真2011.11.8下石黒)


             長い触覚(右触覚喪失)

写真2011.11.8下石黒
解 説
カマドウマ科
 日本全土の縁の下や台所などしめった暗い所や洞窟などに生息する。日本ではマダラカマドウマが最も多い。
 体長10〜25oで体形は干したエビのように曲がり、羽がない代わりに後ろあしと触覚が発達し長い(左下・下写真)。 
 メスは上方に反った剣状の産卵管を持つ(上写真)
 夜行性で昼間は暗いところを好み多くが群がってじっとしていて夜になると餌を求めて活動する。
 雑食性で昆虫の死体など動物質を好んで食べる。
 卵及び成虫で越冬する。
 名前の由来は昔人家に侵入したものが台所の釜戸の近くでよく見られ、飛び跳ねる様子が馬を連想させることによる。


     発達した後脚
写真2011.11.8下石黒