ヤマカガシ
暮らしとの関わり
 ヤマカガシは筆者が子どもの頃には、シマヘビアオダイショウと同様ふつうに見られた。家の後ろにあったタネ(池)の周りに餌となるカエルを捕るためによく姿を現した。シマヘビやアオダイショウに比べて小型で頸部の黄色い帯状の斑紋と赤褐色の紋様が可愛らしい印象を与えた。
 しかし、性質は獰猛で子どもたちが近づくとハブのように鎌首を立てて威嚇した。当時の子どもたちは蛇に対する訳もない敵愾心のようなものを持っていて(カエルや鳥のヒナを襲う様子を見て育つためか)見つけ次第殺すことが多かった。一方、蛇を石油箱の中に数匹入れて、毎日、カエルを餌として与えて飼うような遊びもした。さすがに、これは面白味がなく仲間内で流行することはなかった。
 しかし、その後、筆者が中年になった頃、ヤマカガシが毒蛇であることが明らかになり驚いた。
 ところで、当時はどこの家でも鼠対策にネコを飼っていたが、このネコは、よく蛇を捕まえて遊んでいた。たまたま、その時、筆者の家の猫がヤマカガシを捕まえて遊んでいる姿を観察したことがあった。ヤマカガシは最初は鎌首をもたげて威嚇していたが、そのうち死んだふりをして猫が興味を失う時を待っていた。鼠を捕ることが天職の猫は根気強く待つことはお手のものであるから少し離れたところでじっとして待っている。ヤマカガシがやおら動き出すと急にとびかかって捕まえるということを繰り返した。ところが、そのあと数時間たったころ急に猫が、口から茶色がかった泡を噴き出して苦しみ始めたのであった。1時間近くももがき苦しんだが命は助かった。
 その後、ヤマカガシが強力な毒をもつ蛇であることが判明したことを新聞で知ったときに、即座に、このネコのことを思いだした。確かめようもないが、今も、関連があるように思われてならない。

 写真 2019.6.26 水上 長谷川


解 説
ナミヘビ科
 毒蛇。南西諸島、小笠原諸島、北海道以外の日本全土に分布する。
 全長60〜120p。体色は地域による変異があるが、新潟県では、頸部に黄色い帯状の斑紋がある。この黄色い紋様は幼蛇では特に鮮明である。また頭部に近い胴体上部には赤褐色いろの紋様と頭部及び、首部に黒い斑点がみられる。
 昭和49年(1974)に有毒種とされたが、それ以前は無毒種であるとされていた。それは、毒牙が上あごの奥にあり2mm以下いう長さであるため一瞬噛まれただけでは毒が注入されないことが多いためといわれている。
 しかし、毒性は強力だが噛まれた直後に痛みや腫れは見られないで、徐々に血液及び血管に異常を発して脳出血、急性腎不全等を起し時には命にかかわる。
 また、2種類の毒腺を持つともいわれ、致死量からみてもハブやマムシより毒性は強いとされる。
 名前の由来は、「かがし」は古語の「蛇」のことであり山の蛇の意味。しかし、実際には平地にも見られる。