餅つき用ウス
   
 昔は、どこの家にも餅つき用うすがあった。
 昭和30年(1955)代までは、餅つきにはセイロで米を蒸してウスと杵で餅をついた。床の上にムシロを敷いて、その上にウスを置いてついた。
 ウスはその他ワラスグリや豆落としにも利用された。ワラスグリではウスを逆さにしてその上にセンバを取り付けてすぐった。
 豆落としにはウスを横にして置いてそれに乾燥した豆束をたたきつけるようにして豆をサヤからはずした。トマグチ(玄関)の戸を閉め切って周りをムシロで囲って豆が散逸しないようにしておいて、思い切り臼に叩きつけるとすさまじい音を立てて莢から外れた豆が飛び散った。それが、面白く子どもが進んで手伝った作業であった。
 

 昭和40年代入ると電気餅つき器が普及し臼は無用の長物と化した。同時にワラを使う人も大豆の栽培をする家ももそのからから激減した。
資料→昔の暮らしの中の餅文化
資料→米つきと餅つきの思い出

 昨日〔2014.7.20〕、門出の高志の和紙工房を訪ねた折、小林さんより和紙づくりに使うトロロアオイの根を潰すときに使ったウスと杵を見せていただいた。参考までに掲載させていただいた→参考画像