ウマゴエカギ(馬肥え鉤) 

 昭和20年(1945)代までは、多くの家で牛馬が飼われていた。当時、牛馬は田かきや稲運びなど使うことが目的で飼われたが、馬屋の敷き藁を堆肥にするためでもあった。
 馬屋の敷き藁は夏季には1カ月に2回、冬季には1〜2カ月に1回くらい、外に馬肥え鉤で引き出して屋外に積み上げて堆肥とした。
 また、馬屋の地下には「サンジャクモン」と呼ばれる尿溜め桶が伏せてありそこの尿も汲み出して肥料として使った。馬の糞は人糞と混ぜ合わせて使った。
 とくに冬季の馬肥え出しは、雪を掘って引き出すための道づくりから行わなければならないため大変な仕事であった。  
 馬肥えあげは、この鉤を使って重い敷き藁をズルズルと引き出し堆肥積場まで運ぶ重労働であった。そのため、堆肥置き場はなるべく馬屋に近い外庭にあった。晩秋の朝などその堆肥の山から真っ白の湯気が立ち上っていたことを憶えている。

資料→馬屋と敷き藁堆肥について
資料→馬肥上げ