コスキ       
 石黒では、どこの家にもコスキの2・3本はあった。一晩に1m前後の降雪があった翌朝の道つけには、このコスキで前の雪をのけながらカンジキで踏まなければならなかった。
 また、屋根の雪下ろしでもコスキで新雪を断ち割り、板のすべりを利用して遠くまで投げた。また、コスキは茅葺き屋根やコバ屋根に当たってもスコップのように屋根材を傷つけることも少なかったので屋根の雪下ろしに使われた。
 しかし、子どものころ、コスキの板の上に雪が固定せず思いのまま使いこなせなかったことを思い出す人もあるだろう。 コスキは石黒ではブナ材のものが多かった。春に薪にするためにブナを伐採したときに、素性のよい部分をコスキの長さで5〜6pほどの厚さの板状に割って、大工に頼んでコスキを作ってもらうこともあった。
 コスキは使う前にロウを念入りに塗り囲炉裏の火でさっと暖めてロウを溶かしてから使った。
具補説−コイスキ