コバ葺き道具       
 石黒では、ほとんどの家がカヤ葺であったが、ガンギや土蔵はコバ葺であった。
 コバ葺は、柾目の杉を約長さ30cm、厚さ3mmほどに、上の道具を使って巧みに断ち割ったコバを竹釘で止めて葺くもので、板葺の中では丁寧な葺き方である。石黒には数人のコバ職人がいた。
 上の各用具の使い道は、下記資料「コバヘギ」を参考にしていただきたい。
 子どもの頃に、土蔵のクラノトマで上石黒のコバヘギ職人が仕事をする様子を飽きずに眺めた記憶がある。スギの柾目の部分を輪切りにし、それをいくつかに割り分けてから薄いコバを作るその早業はまさに職人芸というにふさわしいものであり、見飽きることはなかった。辺りには、スギの独特の香りが漂っていたことも忘れない。
 また、作ったコバを屋根に竹釘で打ちつける作業の速さも真に驚くべきものであった。

資料→コバヘギ