カラカサ(ジャノメガサ)   
 
 筆者が子どもの頃(昭和20年(1945)代前半)は、日本中に物資のない時代で、石黒では、雨の日の通学時にはゴザボウシや山笠を用いる子どもがほとんどであった。
 しかし、20年代後半から高度成長期に入るとだんだんカラカサが使われるようになった。
 さらに30年代後半になると洋傘〔こうもりがさ〕が主に使われるようになった。
 カラカサは、洋傘と異なり雨が油紙にあたる音が大きく、開くときにもバリバリという音がして特有の油の匂いがしたことを憶えている。
 隣の門出村にはカラカサを作っている家があった。バスの通る車道から、庭で十数本のカラカサを天日に乾かしている様子が見えた。
 また、各村には葬儀用具として僧侶用の長柄カラカサがあった。

民具補説→カラカサ