ガラス製ハエとり器 |
石黒に限ったことではないが、昭和20(1945)年代までは、家の中にはおびただしい数のハエがいた。食事をする座敷には常に無数のハエが旋回していて、その羽音が微かに「ウォーン、ウォーン」と聞こえたことを憶えている。 そのハエを捕る用具の一つにガラス製ハエとり器があった。中央部の空洞部分にハエの好きなトウモロコシの食べ殻などを置き、内部の溝の部分に水をいれて置くと餌につられて入ったハエが溝の水に落ちて死ぬという仕掛けであった。ちなみに上の口はコルクで蓋をしておかなければならない。 さて、このハエトリ器の効力であるが、1日に捕れたのは何千匹もの内のせいぜい20〜30匹くらいだから大した効果はなかったといえよう。 もともと当時の人は、筆者もそうであったが、ハエ自体をそれほど苦にしていなかった。しかし、座敷で昼寝をすると無数のハエ飛んできて顔、とくに口の周りに寄って来るので手ぬぐいを顔にかけて寝たことを憶えている。 民具補説→ハエとり器 |