書簡-石塚大二郎宛て (山中村文書)  用語の手引き
   


尺素
せきそ

肌骨
きこつ

〇御王體→
ゴオウタイ→相手に対する敬称であろう。

小前

〇南山→ナンザン→
「南山の寿」から人の長寿を祝うこと。

〇小幣家→
自家をヘリ下って呼ぶ幣家に更に謙譲語の「小」を付けたものではないか。

〇無異→
無事

〇過光→
送光と
同意味であろう。


〇皆共→
宗教用語ではみ「みなとも」と読むが、ここでは「みなども」でよいのでは。

〇休神→
休心と同意味


〇熊(?)脚夫→
飛脚夫のことか。

廻章

〇恵投→
恵贈

廻章
順に回して見せる文章→廻文、廻状


改正掛


 尺素閣下に呈し候 時 春浪碧岸洗い難く
 寒威未だ全消 朝夕の寒気凛々肌骨を侵し
 候處 御王體出港以来恙なき様永々
 御勤用下され候段 下拙は勿論 改正用掛始め
 重立及び小前末々まで嘆ぜんの至り依って南山奉り
 候。次に小幣家皆共皆共無異に過光罷り在り候条
 憚りながらご休神仰せ奉り候 陳者(のぶれば)本月五日熊(?)
 脚夫にて御恵投の廻章 去る九日到来翌
 十日小区会議これ有り□小区に両二名惣代を以って依
 頼候事に決し右惣人名 若山公 長谷川公 旧捕丁
 公以上三名相頼み区内戸長及び改正用掛りより委任
 状渡し収穫増米の儀は出港の上惣代より□く
 取り斗い下され度様委任す且つ又田方収穫の儀は
 八年五月区内入札を以って平地収穫取□候 収穫
 に準じ増米致すべくことに決し畑方の義は八年十二月
 瀧□屋にて書上げ候収獲(に)準じ致すべく事に決し
 

 
 
   





小区
大区小区制の大区の下の区割り。


戸長



花翰


〇肌(?難読)着→着衣のことであろう。


〇苦因→
因苦


石塚大五郎
 
 山地宅地は畑同日の事 右件々兼て小区決議
 録惣代戸長より持参下され候共下拙心意丈け
 通知候 尚又御貴君衣服花翰中目録の
 通り差遣候間宜しく御□(肌?)着仰せ奉り候
          恐々敬白 〃
 第二月十一日発
 □白出港長々永々に相成り貴君の苦因は言うべからざる事と
 愚案奉り候得共 並びに吾輩愚知短才にして貴君の
 因苦を救うに能わず事依っては今十四五日の間心労
 下され候て穫増米の協議を下され一日も早く
 議決し帰郷に相成り候様偏に懇願奉り候書余
 は御帰村御拝顔の上万々御証語申し上げ奉り
 度 先ずは取り急ぎ乱筆病老御高免
 願い上げ奉り候
 村田万治
 新潟出掛        九拝
  石塚大五郎殿