藍沢南城書簡-1 山中村文書  用語の手引き
  藍沢南城

茶扇子→茶道に使う扇子の意味であろう。


家来→ここでは家人の意味でろう。


恵存→本来は本などを送るときに相手の名前の脇に書きそえる語。


〇逐て→追って


〇三代吉
→子は相手の子どもを記すときの敬語か。


 
 石塚様   藍沢
     内用
 お年賀の御祝いとして
 大角豆 茶扇子御恵存
 下され忝く受納仕り候 先日
 家来御年始に差し上げ候
 處 御馳走に預かり白兎
 贈り下され子供賞味
 仕り候 三代吉子長々と御不
 快 この節は少々宜しき御容
 体のよし折角御療治
 専要と存じ候 菓子と
 申し遣わされ候處、この間遠方より
 一箱至(到)来いたし中途
 にて湿い少々いたみ候共
 差し上げ申し候 遂て至来の上
 好便にて遣わし候 釣り具糸付き
 庭砂一 高田アメ一共差し上げ候
 啓助子 拙宅へ年始に詣り候
  加納医者方→筆者が子どもの頃昭和20年頃から「カンノの医者」と呼ばれた医院であろうか。


拙方


現の理→「現実の理」の意味か。


公事

出入


一条
  
 啓助子拙宅へ年始に詣り(前頁と重複)
 内々にて相談し参り度きよし
 これ申す間 御宅へ差し上げ申し候
 跡へ連れのもの藤井より来たり
 候間加納医者方へ参り候よし
 偽り置き候て啓助その翌日
 貴家より帰り候間一宿の
 後早速 家来に送らせ帰し
 申し候處 三郎左衛門どの公用にて
 今町の当主留守 内密大いに悦び
 機嫌よきよし家来佐吉
 にも酒代まで呉れ遣わされ候
 さて貴家にて啓助相談
 仕り候趣とかく現の理に落ち
 入り候て拙方より七太夫へかけ
 合い申し難く候 その訳は公事
 出入りなどと違い家内和合
 の事の一条候えば 先ず
 その儘差し置き候て様子見
 合い心すべく存じ奉り候去年中と
  案事→案じ事→心配・心がかり


怱々


  当年には又かの内密の
 心持時々替え様にも存ぜられ候
 啓助子とかく行く末
 の案事が深くこれあり材
 布のわたらぬ□□□□
 なくむりとなどと候案事
 申し候 余り物案事いたし
 候ては人の婿養子には参
 られぬと申すものまずまずその
 儘に致し様子見合いの
 しかるべく存り奉り候 先方にては入
 用の婿に御座 御役
 見習いまで□□事故少
 しも別意これなき事に御座候
 この末にも時によりいろいろ
 申し談じ候仕方もこれ有るべく候
 乱筆 怱々 不一
   閏月 十九日
読み下し・用語解説文責 大橋寿一郎