(農)矢田営農組合、(農)山室生産組合との交流会
7月19日、市内矢田において、(農)矢田営農組合、(農)山室生産組合と(農)石黒の3法人が集まり交流会を行いました。平場の矢田、中山間の山室、山間の石黒と生産条件の違う法人同士、技術や経営などについて話し合い、お互いが今後の法人経営に活かしていこうとの趣旨です。
矢田のライスセンターにおいて、代表理事の石黒様((農)石黒と矢田の石黒様でまぎらわしいですが・・)、理事の山岸様、監事の永井様よりおはなしを伺いました。そのなかに、(農)石黒にとって今後のヒントになるおはなしがいくつかありました。
ひとつが、カメムシ防除について。近年カメムシが大量発生し、米に黒い点(カメムシが稲の汁を吸う)をつける斑点米による品質低下(検査で1000粒中3粒あったら2等米に格落ち)がかなり深刻で、石黒においても、出穂時には防除は欠かさず、多発田では2回防除を行うところもあります。斑点米は、お米に黒い点がついてしまい、見た目が非常に悪くなります。昨年、石黒でも買っていただいているお客(仕出し屋)様より、「斑点米があり、お寿司にできない」との指摘をいただきました。食味には関係しませんが、それ以前の前提として、斑点米は米の評価を一気に落としてしまうものです。(一部の消費者の間では、見た目より農薬の使用を問題視し、斑点米を食べようと呼びかけている団体もありますが、一般的には非常に嫌われています。)
一方、カメムシ防除に使うネオニコチノイド系(柏崎はほとんどネオニコチノイド系だと思います)の農薬は、「ミツバチ」の生態を壊す元凶として疑いがかけられており、その使用について、危険視する向きもあります。(既に欧州では、使用を規制しているとの報道もありますが、使用方法等違いがあり日本では、まだ「容疑」であり、「犯人」と決まったわけではないようです)
現在では、斑点米対策として「色彩選別機」(米をカメラに映して斑点米があると空気で吹き飛ばす機械)の導入が広まってきており、矢田営農組合においても導入されていました。
「色彩選別機が入ったので、カメムシ防除の散布を止めました。どうせ色彩選別機にかけるんだから、防除してもしなくてもおんなじでしょ」と矢田の石黒代表が説明されるのを聞き、発想の逆転、なるほどと思いました。石黒でも同機の導入を検討していましたが、防除を止めるという発想は全くありませんでした。色彩選別機を導入することで、農薬を減らせる、農薬を買わなくていいから経費の節減になります。機械代だけを考えると高価で、費用の捻出をどうしようかと頭を悩ませていましたが、防除を止めれば、農薬代を削減でき、差引で考えれば、そう高いものでなくなってきます。防除にかかる農薬代は、3,300円/10aで10haであれば330,000円にもなります。色彩選別機は約250万であり、8年分の農薬代で買えることになります。防除をしたうえで、色彩選別機にかけるという発想しかなかった我々には目から鱗が落ちる考えでした。(その後、石黒でも色彩選別機を導入することとしました。)
ふたつめが、米の販売、販路における取組について。矢田営農組合では、JA、卸業者との直接取引、酒造会社(酒米の契約栽培)と3つの主要販売先があるそうです。リスク分散、交渉力の確保など販売先の複数化は経営上の必須だといわれ、石黒の勉強会でもJA以外への販売について希望的な話題としてよくでていましたが、実現にはかなりの努力が必要だと感じていました。それを既に矢田では、実践していることに関心させられました。
三つめが、経営、経費にかかるシビアさについて。言い換えるとJAに頼らない経営、JAも取引先のひとつであるという捉え方です。肥料、農薬の購入においてJAを含む複数業者から見積を取り、比較のうえ購入しているそうです。見積を取ってみると、かなりの差があるとのことで、仮に農薬が3,000円/10aと2,500円/10aでは、10haで5万円の削減になります。売上増も大事だが、米価下落に歯止めがかからない昨今、それ以上に出る金(経費)を以下に抑えるかが大事だといわれていました。石黒は山の中でJA以外の取引先(取引してくれる会社)がほかに見当たらないという点で、矢田とは経営環境が多少違うとは思いますが、今までのようなJAと持ちつ持たれつの関係、そんな悠長なこともいっていられない状況に行き着いた感もあるわけで、要は真剣さの違いを痛感させられた気がしました。
そんなことで、矢田営農組合、山室生産組合との交流会は、高柳のなかだけでは受けられない刺激を存分に受けたよい交流会となりました。(村田)
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