ツルウメモドキ
暮らしとの関わり
 ツルウメモドキは、石黒では普通に見られる。
 春から夏にかけては目立たないが、秋に果実が色づいてから初めてツルウメモドキであることが分るというような木である。
 とくに、果実が3つに割れて赤い種子が出ると美しく、昔は仏壇や神棚に供える花(下写真)に使われることもあったが、この頃には、石黒では雪に覆われてしまうことが多かった。
 筆者が石黒で最も大きなツルウメモドキに出会ったのは、大野地区の地名元屋敷のヤマナラシの大木をからみ上るツルウメモドキである。実に、基部の幹の直径は10p、高さは15mほどあった。→参考画像

 筆者の観察では、果実の殻は3裂するとはいえ、稀に種子が4個のものもあり4裂するものもあるようだ。
 それにしても、雌雄異株であり、且つこのように緑色の目だたない花で、よくもこんなに着実な受粉ができるものか不思議に思う。ともあれ、ツルウメモドキの花には虫たちを引き寄せる並々ならぬ魅力があることは間違いない。



写真上2004.11.6下石黒 右上2005.6.10 右中2004.7.15 右下2004.11.6


             夏の頃

写真2008.7.15 落合

        果実の皮が裂ける前

写真2011.10.30 大野

             赤色の種子

写真2008.12.2 寄合

        美しい果実

写真2009.10.31上石黒

     花瓶に挿しても美しいツルウメモドキの実

写真2006.12.4松美町

解 説
ニシシギ科
 北海道から九州の山地に自生するツル性落葉植物。雌雄異株。根はオレンジ色。
 幹は他の木に絡まって伸び、ときには幹の直径が20pにも達する。
 葉は柄があり互生し楕円形で長さ5〜10p。表裏ともに毛はなく縁には鈍い鋸歯がある。
 花期は5〜6月。花は淡緑色で径約7oほど。ガク片は卵形で5個、花弁も5個で細長い卵形をしている。雄花は、花糸の長い5個の雄しべをもち、雌花は5個の短い雄しべと柱頭が3個に分かれた雌しべをもつ。
 果実は球形のさく果で径約8o。秋に熟して黄色の皮が3裂して赤色の皮をかぶった種子が現れる
(下写真)
 名前の由来はツル性でウメモドキに似た木の意味。




        若葉
写真2016.4.20下石黒

      互生する葉

写真2012.5.13下石黒

     葉の鈍い鋸歯
写真2010.7.1下石黒

   若い実から熟した実

写真2010.7.1下石黒

 殻が割れて赤い種子が出る頃

写真2010.10.18下石黒

       種子


写真2010.12.6下石黒