シロヤマブキ
 
 
暮らしとの関わり
 ヤマブキは子どもの頃からよく見かけた。家の周りに八重咲のヤマブキを植えておく家が集落内に数軒あったからだ。 また、中学生の頃に、「七重 八重 花は咲けども 山吹の 実の一つだになきぞ悲しき」という和歌にまつわる有名な話を聞きヤマブキは結実しないことを知った。
 しかし、それを確認するほどの興味もなかった。その後、旅先(福島県飯坂温泉)で野生の一重の花のヤマブキに出会い、その美しさにひどく引かれた。止むにやまれず旅館の近くの山から幼苗を1本持ち帰り柏崎の自宅の庭に植えた。翌々年には花をつけた。期待通りの美しい花であったが、八重咲に比べ開花期間が短い事を知った。また、花後を観察したが結実は見られなかった。
 その後、職場の同僚から白花のヤマブキの苗木を頂いき、石黒の生家跡の庭の小路脇に植えた。4年ほどで花を付けるようになった。そして1花に真っ黒な実を4つもつけて驚かせた。
 昨日(2018.5.13)、畑の植え付け作業に石黒を訪れると、開花最盛期であった。鍬を手にその美しい花に見とれていると、自然、苗木をくれた若い女性のことを想った。その人は妻の知り合いでもあり、親しくしていた。明朗活発で仕事にも積極的に取り組み有能な女性であった。
 しかし、20歳代で不治の病魔のため他界してしまった。それから既に20年がたった。今でも、シロヤマブキの花を見ると、くりっとした瞳のその女性のことを必ず思いだす。

写真 2018.5.13 下石黒

            芽吹きの頃

 写真 2020.4.13 下石黒

         側枝のつき方と花
写真 2018.5013 下石黒

         黄葉したシロヤマブキの葉

写真 2018.12.2 下石黒


解 説
バラ科
 本州の中国地方に分布する落葉低木。高さは1〜2m、全国の庭園に植栽される。
 葉は対生していて長さ5〜10p、幅2〜5p。形は卵形で基部は円形またはハート形で縁には重鋸歯がある。葉脈の凹みが目立つ。
 夏季は4〜5月で両性花側枝の先端に1個つける。雄しべは多数、雌しべは4個。
 果実は痩果で通常一花に3〜4個つけ、褐色から黒色になる。



      つぼみ
写真 2018.5.13 下石黒

     開花始まる     
写真 2018.5.13 下石黒

     成熟前の果実

 写真 2019.7.24 下石黒

     成熟した果実
 写真 2019.8.24 下石黒

       種子
写真 2019.9.6 下石黒