ナニワズ(エゾオニシバリ)
暮らしとの関わり
 石黒では「ナツボウズ」と呼んだ。だが、野生のものは未だ見かけない。子どもの頃から植木鉢や庭に植えられたものは、しばしば見かけた。
 筆者も市街地周辺の山から石黒の庭に移植したが十数年立った今も毎年花をつけている。
 ところで、石黒の庭で栽培した雌株に果実が何年にわたり付いたことは、他の家で栽培している雄株の花粉が運ばれたものであろうが、石黒にも自生している可能性も考えられる。しかし、2013年現在も出会わないことから、自生していない確率が高いと思っている。
 また、筆者は、牧野植物図鑑の名前の由来に『オニシバリの長野県の方言が「ナニワズ」であることによる』とあることからオニシバリと同種と早合点していたが別物であることが分かった
 区別点としてはオニシバリの花は緑色を帯びた黄色であること、その他、花冠の筒状部が長く裂片が短いといわれるが本種の花筒も下の写真の通りかなり長い。結局、両者の花筒の長さは、花被裂片との対比で比較しなければ同定根拠とはならないと思われる。ご指導を仰ぎたい。
 山本敏夫著「新潟県樹木図鑑」を見ると「別名エゾナツボウズ・エゾオニシバリ 俗名ナツボウズ」とある。

〔写真2006.4.22曾地 左下2005.7.14下石黒

                幼苗
写真2013.10.3曽地

                若葉

写真2004.9.19田塚

                花期へ
写真2004.11.28田塚

       石黒に移植された個体(雌株)

写真2004.12.2下石黒 屋号横手屋敷跡

               花期

写真2017.2.1田塚

写真2013.4.2田塚

             花のつきかた
写真2013.4.2田塚

               長い花筒
写真2013.4.2田塚

             果実期〔4月〕
写真2011.4.28田塚

解 説
ジンチョウゲ科
 北海道と本州以北(福井県以北)の山地に生える雌雄異株落葉低木
 幹は厚く強靭な樹皮をもつため折れにくく近似種の「オニシバリ」という同様な呼び名もある(下写真)
 葉は薄く互生倒被針形で先端は丸く基部はくさび形で全縁。裏面は粉白を帯びる(下写真)
 花は枝先に多数集まってつき黄色でごく短い花柄がある。(左下写真)
 ガクは下部は筒状で先は内外2裂し4片に分かれる(下写真)。  雄しべは8個で、筒部の内側に上部に4個も下部に4個ある(下写真)花糸は短くやや内側に向く、花筒の底に長楕円形の毛のない1個の子房がある。
 果実は円形の液果で7月頃に熟して赤くなる(上写真)
 名前の由来はオニシバリの長野県の方言が「ナニワズ」であることに基づく(牧野植物図鑑)。



       雌花

写真2006.4.22曾地

      葉の表裏

写真2006.4.22曾地

       雄しべ


        子房
写真2006.4.22曾地

          幹
写真2006.4.22曾地

     幹の切断面
写真2006.4.22曾地


   強い繊維質の樹皮
写真2006.4.22曾地

      未熟果実

写真2011.4.28田塚

     果実期〔6-7月〕
写真2010.7.1田塚

     果実と種子

写真2010.7.1田塚