ムクゲ(植栽)
暮らしとの関わり
 ムクゲは石黒でも多くの家で庭に植えられていた。低木であり冬囲いも容易であり、花期が長く花を楽しむことができたからであろうか。
 筆者の家にも庭先に1本あったが、1970年頃に植えたものが、つい2年前(2013)までは、毎年美しい花を咲かせていた。その木は庭先にあって前の崖の斜面にそって這うようにして雪に耐えて40年以上生き続けた。その期間のうち20年は家族が離村して人に見捨てられた存在であった。その後筆者がそこに山小屋を建てて通うようになってから周りの雑草を刈りとるなど手入れをしてやっていたのであった。
 毎年、お盆過ぎの大根畑づくりのころには畑の上の斜面に枝を立ち上げて美しい花を咲かせた。いまだ残暑厳しい頃で作業中に一休みして汗をぬぐいながら、ムクゲの花に見とれたものであった。花は、上の写真と同じ色のものであった。
 筆者の観察によれば、果実はたくさんつくが、近くに実生の幼苗を見たことはない。石黒に限っての観察であるが種子散布による自然発芽は見られないようだ。
 
しかし、昨日、下の写真を撮ったのは茨目地内の人家の庭に植えられたムクゲであるが、その木の枝が伸びている方向のヨシヤブ川ぞいの砂利道の川縁に2本(丈1mほど)の若木がみられたが、これは種子散布により自然発生したものである可能性が高いと思った。

写真 2015.7.28 原町


          赤い花のムクゲ

写真2015.7.1安政町

              果実期

写真2015.9.29上田尻

        果実と種子の様子

写真2015.8.20茨目

解 説
アオイ科
 中国・インド原産の落葉低木。観賞のために植えられる。交配種も多い。
 幹は直立して分岐し樹皮は灰褐色。高さ3mほど。枝はしなやかで強靭である。
 葉は互生し柄があり形は卵形で時々3裂して不整の粗い鋸歯が見られる。
 
花期は6〜10月、枝に腋性の短い柄をもった花をつける。花径は6〜10p、普通は淡紫色であるが白色や八重咲きなどの品種もある。
 花の下部にはいくつかの線形の小包葉がある。 ガクは鐘形で5裂。花弁は5個あり巻いていて基部は合着する。
 1日花のようであるが数日にわたって咲く。
 多数の雄しべがあり単体雄ずいとなる。1個の子房の上の花柱は単体雄ずいの外まで突き出して柱頭は5裂する。
 果実はさく果で卵円形で熟すと5片に割れて開く。種子は平たくへりに長い毛がある。
 名前の由来は漢名「木槿」の音読みに基づく。
 隣国韓国の国花。



    つぼみと開花前

写真2015.7.28原町

  種子散布期の果実
写真2015.9.29上田尻