コウゾ

暮らしとの関わり
 石黒では、ごく希に見かける植物の一つである。かつて家で栽培されていたものが残っているものと思われる。
 昔は、石黒の寄合集落などでは大抵の家に「紙すき場」があり自分でコウゾやミツマタを栽培して和紙を作ったものだと伝えられる。今でも「コウゾ畑」の地名が多くの家に残っている。
 上の写真は上石黒から大野への道路沿いで撮った。
 現在では、門出地区に「門出和紙 高志の生紙工房」で昔の柳の和紙づくりの伝統が受け継がれ続けている。→写真・コウゾの皮干し
(http://www.kadoidewashi.com/)
 また、昔はコウゾの皮の繊維から布を織ってユフ(木綿)と呼び、江戸時代には茶、桑、漆とともに「産業の四木」と一つとされた。
 現在和紙作りに使われているコウゾは改良種で果実はほとんど結実しないという。
 昨日(2013.9.6)、矢沢繁徳家文書の大正9年国勢調査関係書類を見ると矢沢三五郎の副業欄に和紙製造販売業ある。妻の欄には和紙製造販売業手伝と記載されている。同様の記載が他に二軒ほどある。寄合集落では勿論副業ではあるが、和紙を製造販売していた家が数件あったことが分かった。
ビデオ資料栽培種コウゾ栽培
古文書資料→楮覚

(写真上・右上 2007.5.26上石黒 上右下2007.6.29)


          コウゾの幹の皮

写真2007.06.29上石黒
        コウゾの葉の裏表

写真2007.06.29上石黒

               栽培畑種
 2008.10.13大野地名マレンダツ

               花期

写真2009.5.19落合 寄合への旧道入り口付近

解 説
クワ科
 各地の山地に自生し、また昔植えられたものが現在では野生化している。クワに似た落葉低木雌雄同株
 高さ5〜6m。和紙の材料として昔から栽培されてきた。
 葉形もクワの葉に似ていて有柄で互生し長さ7〜25p、幅4〜14p。しばしば深く切れ込みが入る。
 花は春、葉と同時に開く。雌花はたくさん集まって若い栗のいがに似た球形の穂をつくる。雄花は桑の花に似た形で垂れ下がる。
 果実は6月頃に赤く熟し甘い。(上右写真)
 名前の由来は、コウゾの繊維で織った布ユウ(木綿−カゾ)が語源ではないかと言われる。




   コウゾの葉のつきかた

写真2007.06.29上石黒

        雄花
写真2007.5.25上石黒

       果実

写真2007.7.15上石黒

   コウゾの茎の断面 写真2007.06.29上石黒

  コウゾの葉の縁の鋸歯

写真2007.06.29上石黒