キササゲ
暮らしとの関わり
 石黒で見られるのキササゲで最も大きな木は、上石黒郵便局近くの人家のそばにある。高さはおよそ15m、径40pほどあろうか。
 その他、寄合で数カ所野生化したものが見られる。こちらはいずれも、高さ5〜10mほどの中木である。
 牧野植物図鑑には「暖地の庭に植えられる」とあるが、石黒のような多雪地帯でもこれだけの大木に育っているのは意外に思われる。
 寄合の松尾神社脇の橋のたもとにある個体は基部が欄干外の斜面にあるため目を近づけて花を観察できる。初めて出会った時が花期であり、その大きく美しい花には感動した記憶がある。
 また、果実は細く長いササゲのような形をしていてマメ科であるように思われるがノウゼンカツラ科で、サヤの中に扁平で両端に長い冠毛をもつ種子がある。その毛は種子の両端に付いていて長さが8mmほどで種子と同じ位の長さである。毛まで含めた種子の長さは2.5pほどある。
 そして、この種子を散布するのは、石黒では早春であるように思われるがどうであろうか。下の写真のように冬季には未だ果実は割れていないものがほとんどであり、上のメインの写真のよう翌年4月に、樹下の雪上に一面に落下していて果実の中には種子が残っているものが多い。
 詳しい方の指導を仰ぎたい。
 また、両方に冠毛をもった種子は風により広く散布され発芽率も良いとのこと、是非実験観察してみたいものである。
 更に川原に多くみられるのは種子散布との関連はないかどうかも調べてみたい。
 編集委員の福島の大橋洋子さんより、先刻、来春に石黒の個体の写真を撮るまでの掲載用に花の写真を送っていただいた。本サイト作成では、常に目を通していただき助力をいただいている。
 今年(2016)の正月は元旦から今日5日まで異常なほどの暖かさが続いている。昨日までの気温は14度程で屋外を歩いていても汗ばむほどだった。 今日、田塚のキササギの種子を採取してきて観察した。サヤは二つに割れて中に軸棒のようなもの(円柱ではなく平たく潰して捻ったような形)があることが分かった。(右下写真)種子の片面が何れも湾曲していることから、この棒に張り付くように種子が付いていたものであろう。
 現在(20156.1.5)サヤは割れているものが多いが、未だ中の種子はほとんど残っている。キササゲの種子散布期冬から春にかけて行われるのではなかろうか。

写真2012.4.10上石黒


             つぼみの頃

写真 2015.5.31田塚

               花序

写真2014.7.1福島県桑折市

           花から果実へ1
写真2015.7.3新田畑

            果実期
写真2015.8.13上石黒

     上写真の個体正月の頃の様子

写真2014.1.14寄合

               大木の樹皮

写真 2012.4.10上石黒

       冬季の果実のようす果実の様子

写真2014.1.14寄合

    冬の枝-先端の分枝は豆果のついた所
写真2015.2.5田塚


解 説
ノウゼンカズラ科
 中国原産の落葉高木。薬用植物として導入されたと伝えられる。現在では植栽されたものが川原などで野生化している。
 高さ15m、径40pを越えるものもみられる〔写真上〕
 葉は、対生また3輪生で長さ10〜25pの広卵形。しばしば、浅く3〜5裂し全縁。先は短く尖り基部はハート形。質は厚く軟毛がある。
 花期は6〜8月。枝の先に大形の円錐花序をつけ、多数の大きな花をつげる。花冠は漏斗状で先は5裂して唇形となる。花は淡黄色で内側に紫色の斑点がある。
 雄しべは4本で2本ずつ長さが異なる。
 果実はさく果で、長さ30pほどの線形となる。 種子は扁平で大きく両端に糸状の長い毛をもつ。風散布であろう。
 名前の由来は果実がササゲに似た果実がなる木という意味。


      
      若葉

写真2015.5.13田塚

       葉の形

写真2014.7.28田塚

         花冠
 写真2014.7.1福島県桑折市 洋子

    花期から果実期へ2

写真2017.7.22新田畑



 夏に未だ残る前年の果実の殻  写真2014.7.28田塚

 冬季に未だ割れない果実

写真2014.1.14寄合

  両端に長い毛をもつ種子
写真2012.4.10上石黒

  さやのつくり種子の大きさ



写真2016.1.5田塚

      葉痕と冬芽
写真2015.2.5田塚