ケンポナシ
暮らしとの関わり
 石黒では「ケンポ」と呼んだ。ケンポナシは村の中に大きな樹が何本もあった。下石黒では屋号「四郎左衛門」の家の後ろの道端に大木があった。
 冬になると雪の中に落ちた実(肉質化した果柄)を拾って食べた。冬は渋みがとれて甘くなった。一種独特の甘み、それはヤマボウシの果実の甘さと似た「異国情緒のある」と言いたいような一種独特な甘味であった。
 葉は梨の葉に似ていて艶やかであり風にひらめく様子が美しい。梅雨の頃小さな薄緑の花が集って咲く。(上写真)
 また、ケンポナシは木目がケヤキに似て美しく、昔から用材としても使われたという。

(写真上・右上2005.7.5上石黒 右下2005.10.6板畑)


       ケンポナシの木(下写真は花期)

撮影2008.7.20板畑 背景は黒姫山

                花期

撮影2011.7.12上石黒

             果実期(結実良好)

写真2015.9.21上石黒嶺坂

               果実期

撮影日2011.10.27大野

           葉の形

撮影2008.7.20板畑

               幹

撮影2011.6.9下石黒 城山
         切り口

      撮影2011.4.1上石黒
解 説
クロウメモドキ科
 北海道から九州まで見られる落葉高木。高さ17mほどに達する。
 葉は互生し長さ15p、幅10pほどで、葉脈は基部から3本に分かれている。縁には鋸歯がある。
 7月頃に小枝の先に多数の淡緑色の小さな花を散房状花序になってつく
(左上・下写真)。花径は7o、ガクは5個、花弁5個、雄しべ5個(下写真)
 核果は球形で無毛、短い柄で肉質の太くなった花序の枝につく
(上写真)
 晩秋には肉質化した花柄は地上に落ちる。甘みがあり、昔は子どもが好んで食べた。樹形はすらりとした高木が多い。
 名前の由来は肥大した果柄の形が人の手に似ているとによる。




       花拡大


撮影日2007.7.2上石黒

        花期

撮影日2007.7.2上石黒

   ケンポナシの果実

撮影日2006.8.29板畑


撮影日2005.9.3板畑

   肥大し果柄と果実


撮影日2007.10.1板畑

        種子
撮影2011.10.27大野

  花序の柄の蜜を吸うハチ

撮影2011.11.8上石黒