イチョウ
暮らしとの関わり
 石黒ではイチョウは稀にしか見られない木の一つだ。筆者の子どもの頃、下石黒には実のなる木はなかったように思う。イチョウの実を拾った記憶がないからだ。
 筆者の家からそれほど離れていないところに一本の大木があったが、雄木で実がつかなかった。
 しかし、他集落には何本かあり、毎年、我が家はイチョウの実を頂いた。もらったイチョウの実は、正月料理の吸物入れたこともあった。
 また、ちょっと種皮に傷をつけてから囲炉裏のホドの灰の中で焼いて食べたこともあった。焼いたイチョウの薄い内皮をむくと宝石のような美しい艶やかな種子が現れて驚いたことをを憶えている。
 このような訳で多肉の外果皮を取り除いて白い堅い種子を取り出すまでの苦労を知らなかった。その外皮に悪臭があり時には触るとかぶれるなどことなどは大人になって知ったことであった。似た果実の採り方の木にオニグルミがあるが、こちらは臭みもなく比較的に処理が容易であった。
 イチョウについて調べるために牧野植物図鑑を開くと一頁目に掲載されていて、一科一種である。裸子植物門イチョウ綱の中で唯一の現存する種であり、正に「生きた化石」である。
 また、毒性植物との表記もみられ、子どもが沢山食べると中毒症状を発するとされる。
 思うに子どもの頃に、沢山食べると毒だと親が言っていたことは、いい加減な方便ではなかったようだ。
   
 写真2014.10.17下藤井 右上2013.10.26野田
 

                果実

写真2014.7.20野田
右上2013.10.26野田

          葉脈と波状の葉の先端
右上2013.10.26野田


            イチョウ黄葉


写真2014.10.30北条 専称寺(北条毛利氏菩提寺) 山門脇

    
      熟して落ちた神社のイチョウの実


  写真2024.10.23 柏崎市内

 写真 2018‎年‎12‎月‎7‎日 畔屋

解 説
イチョウ科
 
中国原産の落葉高木。室町時代から日本各地に植えられた。  1科、1属、1種で仲間はない。中世代から新生代第3期までに多くの化石が発見され「化石植物」ともいわれる。
 病虫害に強く巨木に成長したものを多く見かける。樹齢1000年に近いものもある。時折、枝のつけ根から気根を出すものもあるが原因は不明である。
 樹皮は淡灰褐色で縦に浅く割目ができる。高さ30m、径2mにもなる。枝には長枝と短枝があり短枝には葉が群がりつく。
 葉は互生し、形は扇形で幼木は成木に比べて中央の切れ込みが深い。先端の縁は波形で葉柄にいたる両辺は、ほぼ真っ直ぐである。葉脈は何回が二股に分枝を繰り返して平行に走る。秋、落葉前に美しい黄色になる→参考画像雌雄異株
 花期は4月。新葉とともに咲き雄花は尾状花序のようになる。雄しべには縦に切れ込みのある2つの葯室がある。雌花は花柄の頂端に2つつき杯状の心皮の上に裸の胚珠が一つつく。花粉は春に胚珠に入りその中の花粉室で生育し9月上旬に精子を出して受精する。
※雌花、雄花の写真準備中
 種子は核果的で熟すると外種皮は黄色な多肉で悪臭がある。内種皮は硬く白色でその周囲に2~3の稜線がある。
 種子は食用にする。材は黄白色で柔らかく、碁盤や将棋盤などの器材や建築材として使われる。
 名前の由来は、中国名の「鴨脚-葉の形がカモの足ににていることによる名前」の音「イーチャオ」が訛ったとされる。



   芽吹きの頃の様子

20016.4.19畔屋

2016.4.22畔屋
     葉の大きさと形

写真 2016.4.257矢田

      黄葉の頃

写真2014.1025佐藤が池

    晩秋のイチョウ
右上2011.12.2上石黒

      冬芽と葉痕
写真2015.1.25市街地