イヌツゲ
暮らしとの関わり
 石黒では、植栽のものは稀にあるが、野生のものには出会ったことはない。農道の脇や囲りの山で見られるのはハイイヌツゲばかりである。
 市街地周辺では林の縁などでイヌツゲを見かけるが、直立した樹形の株には殆ど出会わない。石黒ほどではないが市街地周辺も1m前後の積雪は普通であるからハイイヌツゲに近い姿のものが多いこともうなずける。とすると、畔屋などの山はその環境から中間種の個体も考えられる。(※牧野植物図鑑にはハイイヌツゲについて「常緑の蔓状低木」とあるので亜種として区別しているようだ)
 上の写真の個体は先日(2015.12.15)、鯨波海岸近くの荒地で出会ったものであるが、屋敷跡でありおそらく植栽されたものであろう。
 また、右上の花の写真は、筆者のストック写真のイヌツゲのフォルダに入っていたものであるが未確認である。イヌツゲの雌株の花のように想われるが来春は是非確認したい。
 いずれにせよ、こうしたイヌツゲやハイイヌツゲは印材や櫛などの用材となるツゲの仲間思っていたがモチノキ科であることを知って驚いた。その区別はツゲの葉は対生でイヌツゲは互生でありことから容易に同定出来るとのことだ。
 ちなみに、筆者は10年ほど前まで、エンマ市で買ってきたツゲ2本を大事に育ってきたが、あれは果たして本ツゲであったか、それともイヌツゲであったか中越沖地震後に住宅改築で処分してしまったので確かめようもない。ただ隣家のツゲと比べて樹勢が劣った。自分の手入れの悪さもあったかもしれないが種が異なるように思われてならなかった。
幸い隣家のツゲは現存しているので是非、ツゲかイヌツゲか確認してみたい。
追記 名前はツゲのように役に立たないことに由来

写真2015.12.15鯨波 右上2012.6.12松波


      のめったような姿になる幹の様子

写真2014.6.1畔屋

            葉のつき方
写真2015.12.15鯨波

         虫えい−イヌツゲメタマフシ
写真2015.12.15鯨波

   切り払った株から伸びたものであろう

写真2015.12.22田塚

解 説
モチノキ科
 本州以西に分布する常緑低木。樹高は時には5mにも達するものもある。 雌雄異株
 葉は小さく長さ1.5〜3pの楕円形。厚みがあり皮質てぜ艶があり、縁には丸い鋸歯がある。また、葉裏には腺点がある。樹皮は灰褐色。
 花期は5〜6月頃で花は白色で総状または複総状花序となってふ沢山つく。雄花は雄しべ4本と退化した雌しべをもつ。雌花は葉のつけ根に1個ずつつき退化した4本の雄しべと4室の子房をもった雌しべがある。雄花雌花ともに4個のガク片と花弁をもつ。
 果実は核果で球形、黒く熟す。
 名前の由来は役に立たない事による



    葉の繁り方の様子

写真2015.12.15鯨波

 葉の様子※下はヒサカキ
写真2015.12.20畔屋

 互生する葉と葉裏の腺点
写真2015.12.15鯨波