ハリギリ
暮らしとの関わり
 ハリギリを石黒では「エンダラ」あるいは「センノキ」と呼んだ。
 石黒では少ない樹木の一つと言ってよい。幹や枝には鋭い棘があり、幼苗の頃に見かけ次第切り取られたためであろうか、集落内には大木はない。しかし、山に入ると大木がしばしばみられる。
 大木になると幹の棘はなくなるが、上写真の木は周囲90cm余であるが、未だ幹(地上1m)も左写真のように鋭い棘で覆われている。もっと大木となると棘はなく幹の表面の裂け目が深くなる。
 現在、石黒で筆者が出会った最大のものは地上1mの周囲が255pの大木で、城山の尾根にある。→参考写真
 ヤマボウシの花が終わりしばらくすると(7月下旬)となるとハリギリの花期が訪れ黄色がかった緑の花があちこちの山に目立ってくる。筆者の山小屋からは城山に何本か見られるが、今日
(2011.6.26)ヤヒツ山に巨木であろうと思われるハリギリの花を確認した。周囲は3mは優に超えるであろう。今秋か来春に是非訪れてみたい。だが、やや黄色が少ないことからアオダモであるかもしれない。いずれにしても巨木であることは確かである。下写真

 子どもの頃、この木の葉を振りかざして天狗の団扇だとはやして遊んだことを思い出す人もいよう。また、うっかり幹に触って痛い目にあった人もいるに違いない。
 材は丈夫で柔らかく、加工しやすく鉋(かんな)をかけると桐に似た光沢が出てきれいな木目が現れると言われてる。石黒では昔から建具材に利用した。
 また、若葉は山菜として食用になるといわれている。

(写真2005.5.26下石黒ホウノキ山)


        ハリギリの若葉

写真2009.4.30

            花期のハリギリ



写真2006.7.29板畑

          葉の形(裏)

写真2009.5.18下石黒

            冬季のハリギリ

写真2005.12.3板畑嶽上り口
解 説
ウコギ科
 全国各地に見られる落葉高木
 高さ25m、周囲は3mにも達する。枝も大きく幹には、太く鋭いとげが多い(下写真)
 明るいところを好み、暗い杉林などに生えたハリギリは1mほどで上部を枯らし再度芽を出すことを繰り返し光環境のよくなるのを待つ。(カエデ類に共通)
 葉は互生し枝先に集まってつき掌〔手のひら〕状に7〜9裂し、葉柄が長い(左下写真)
 7〜8月頃、梢に黄緑色の花が球形に多数集って咲く(左下写真)。受粉は虫媒花
 果実は球形で径5oほどで液果で熟すと黒褐色になる。
 材は家具、下駄・船具・器具用。
 根皮は去痰きよたん薬と用途は広い。
 名前の由来は、桐に似てること(また桐の代用と使われた)と棘があることによる。



        冬芽

写真2015.1.14下石黒
写真2015.4.9下石黒

      ハリギリ芽

写真2009.4.18上石黒

      葉の開き方

 写真2017.4.30 下石黒

    葉の裂片の鋸歯

写真2009.5.28下石黒

 ハリギリ大木(径30p)幹

写真2005.5.26下石黒

  ハリギリ大木(径45p)幹

写真2007.5.23板畑

 ハリギリ大木(径78p)幹

写真2011.6.9下石黒

   ハリギリ果実(未熟)

写真2007.9.30板畑

     ハリギリの葉痕
写真2015.1.14下石黒