ドクウツギ | |
暮らしとの関わり 石黒では「ドクエツギ」とよんだ。少ない植物であるが、現在でも石黒川沿いの斜面に所々で見られる。また、川沿いとは限らず現在(2005年)、上石黒の嶺坂の頂上近くの道路の山側斜面(道路から確認できる範囲)にも十数株が見られる。 ドクウツギが猛毒であることは、子どもの頃から教えられていた。「食べると血を吐いて死ぬ」と聞かされ、臆病な自分は果実に触ることもなかった。 とは言え、川遊びの折に石黒川でドクウツギの果実を間近に見たとき、「美味しそうだ」とも感じた覚えもある。今、見ても赤味を帯びる頃の果実は熟れたモモの実の色を連想する。 WEB上の資料によれば、太平洋戦争前の植物中毒の1割が、このドクウツギの誤食による子どもの死亡事故であったという。(熟した果実には甘味がある事も子どもの中毒死事故を起した原因であった) いまでも、石黒川沿いなどでよく出会うが、子どもの頃には怖い存在ではあったとはいえ、昔馴染み(?)の植物で素通りできない存在である。 (写真上2005.7.5上石黒) 小枝の左右に対生につき羽状複葉のように見える葉 写真2009.6.9上石黒 政栄 四角い枝と花序枝基部の鱗片 写真2009.6.9上石黒 石黒川流域のドクウツギ 1 石黒川流域のドクウツギ 2 写真2010.6.7下石黒 岸壁のドクウツギ 写真2009.6.3寄合 |
解 説 ドクウツギ科 北海道、本州の山地や川辺にや崩壊地など自生。根は太く、高さ1〜1.5mの落葉低木。雌雄同株。 小枝は四稜があり断面は四角形〔左下写真〕。 葉の長さは6〜8p、幅2〜3.5pで羽状に向き合ってつく。葉は無柄で三本の縦の葉脈があり基部は円形(下写真)。 春、葉に先立って黄緑色の小さな花を開く。花は枝の節に束生する総状花序となり短い柄をもつ。 前年の葉のつけ根から長い雌花序と短い雄花序が一個所からそろって出る〔左下写真〕。 花序の基部には鱗片が多い〔左下写真〕。ガクは5個、花弁は5個ガクより小形。雄花には黄色の葯〔花粉袋〕をもった5個の雄しべがある。雌花には熟さない5個の雄しべと紅色の長い花柱をもった5個の子房がある。 果実はエンドウ豆大で赤くなり〔上写真〕後に黒色となる。枝葉、果実に猛毒を含む。 名前の由来は木がウツギに似ていて有毒であることによる。 別名は、「一郎兵衛殺し」。 古い枝につく新枝 写真2009.6.9上石黒 無柄で3葉脈の葉 写真2005.7.5上石黒 果実 黒紫色のものは成熟果 写真2009.6.9下石黒
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