ゼニアオイ
生活との関わり
 石黒では2007年の頃に寄合集落で花壇に植えられたものを見たことがあるが、逸出した個体には出会ったことはない。
 一方、同じ科のタチアオイは、多くの家の庭に植えてあり、子どもの頃から親しみのある花であった。花びらをとり基部を、はがすように二枚に分けて鼻の頭に張り付けて、当時、家畜として飼っていたニワトリに見立てて遊んだものであった。鼻に張り付けるときの独特の香りが、70年余もたった今でも鮮やかに蘇ることに驚く。
 さて、本ページのゼニアオイは、近くの排水路の土手に生えているものである。その土手の上が散歩道になっているので毎年見てきたが、ほぼ同じ場所に、ここ10年ほど見られたので宿根草のように思われた。
 派手なタチアオイと同時期に開花し見劣りがするせいか、いままで本サイトに掲載しないまま見過ごしてきてしまった。
 今年(2018)は、続いて観察し果実期までの様子を掲載したいと思っている。

写真2018.6.5 藤元町

             幼   苗
写真2018.5.5 藤元町

               果実期
写真2018.6.28 藤元町
 
              種子散布期
 写真2018.8.12 藤元町


解 説
アオイ科
 原産地は地中海沿岸地方。日本には江戸時代に観賞用として移入された。その後、全国に広まり、丈夫で寒さにも強いため逸出して今では、河原などの荒地にも見られる。越年草。
 高さ60~150㎝ほどで、直立して円柱形で緑色。
 葉には長い柄があり互生し、5~9の浅い切れ込みがある。縁には鈍い鋸歯があり、基部は心臓形。
 花期は、5~6月頃。葉のつけ根に柄のある花が集まってつく。
小包葉は3個で分生する。ガクは緑色で5片に切れ込む。花弁は5個、平らに開き、形は倒心臓形で基部はくさび状。
 花の色は淡紫色で紫色の脈がある。
 雌しべは花の中央に立ち、花柱は糸状で多数ある。近縁の種にウスベニアオイがある。
 名前の由来は、花の形、あるいは円盤状の果実の形を銭に見立てたもの。



      花冠の様子
写真2018.6.5 藤元町

       果実期へ
写真2018.6.28 藤元町