ヤブラン

暮らしとの関わり
 石黒には自生していない。市街地でも海岸よりに希にみられる。
 1960年ごろ、西山の浜忠から種子を採取して来て石黒の庭に播いたものが育ち、その後毎年種子を採取して庭に播いたものが元気に育っている。特に日陰に限らず日当たりの良いところでも旺盛な生命力を見せて育つ。病気、虫害の心配もない。日照りにも余り影響を受けないのはヒゲ根のふくらみ(下写真)に水分を溜めておくせいであろう。
 ただし、市街地周辺では常緑性であるが多雪地の石黒では葉は冬季は枯れる。そのため庭に植えたものは枯れた葉を切除しないと見苦しい。
 穂状に真っ直ぐに立ち上がって咲く紫色の花は凛として美しい。また、晩秋の黒く熟した光沢のある果実も美しい。
 筆者の経験では。斑入りの園芸種は、野生種に比べて若干、強靭さで劣る。

写真2013.8.24 下石黒


                果実期

写真2006.10.23 下石黒


           花期から果実期へ
写真2013.8.24 下石黒

          根のふくれた部分と内部

   
 写真 2011.9.24 下石黒  写真 2019.3.21 松美町


          園芸種で斑入りのもの(右)
写真2016.9.25下石黒


解 説
ユリ科
 本州、四国、九州の林内の日陰に生える多年草。常緑性。
 根茎は太く短く固い木質。ヒゲ根は長くふくれた部分がいくつか見られる〔左下写真〕
 葉は重なって根元から出て上部葉は垂れ下がり線形で光沢のある濃緑色。草丈30〜50p。幅1pほど。鈍頭で基部は細くなり葉柄のようになる。
 花期は8〜10月。長さ40pほどの花茎を出して総状花序をつける。花被片は6個、雄しべ6個、花糸は曲がっていてヤクは長い。花の径6〜7oほどで淡紫色〜紫色〔下写真〕
 果実は裸出した種子で、果皮は薄く緑色から熟すと黒色になる。 種皮を取り去った種子は透明度の高い茶白色。(下写真)筆者の経験では発芽率は非常に高い。
 名前の由来は、やぶに生えて葉がランに似ることによる。



       花序
写真2011.8.24 下石黒

      花のつくり
写真2011.9.24 下石黒

     果実(未熟)

写真2011.9.24 下石黒

     果実と種子

採取2014.2.9松美町