ワルナスビ | |||||||
暮らしとの関わり 石黒では、未だ出会わない野草であるが、柏崎市街地の海岸の防砂林付近から付近の空き地、また鯖石川河口の土手などでよく見かける。 草全体に鋭く長いトゲがあり、うっかり触れないほどである。昔の呼称と伝えられる「オニクサ−鬼草」がいかにも似つかわしい植物である。 現在、ワルナスビは市販のナス苗の台木として使われることもあるようだ。筆者の見たナス苗の台木が畑で成長した姿は巨大でワルナスビの化け物のようであったが、同種であろう。台木の根が残って柏崎の海岸近くに広がったとも想われる。 それにしても、全草がソラニンを含み、時には牛も殺すほどの毒があるとされるワルナスビを野菜の台木に使っても安全面で問題はないものであろうか。牧野植物図鑑にも、平凡社の日本野草図鑑にも有毒の記載はない。あれほどこの草をこき下ろした牧野富太郎であったが、その毒性に言及していないということは当時は毒性が解明されていなかったのかもしれない。 性質はきわめて強く、縦横に広がった根で増えていくので畑に入ると耕すことによって切れ切れになった根から発芽して一斉に繁茂してしまう。そのうえ、除草剤にも強いという、真にやっかいな害草である。 筆者の観察の限りでは、黄色い果実が翌春までそのまま残っているが、有毒のせいではなかろうか。 発見者で命名者でもある牧野富太郎は、その著「植物1日1題」で、さんざんにこき下ろしたあげくに、「ワルナスビ」をうってつけの名前と自画自賛している→(※参照(http://w2222.nsk.ne.jp/~mizuaoi/71warunasubi.htm) 接ぎ木のナス苗は石黒でも使われているが、さすがのワルナスビは、石黒のような多雪地帯では越冬できない弱い一面もあるようだ。 〔写真2010.7.10柏崎市北園町〕 幼苗 写真2011.6.4裏海岸 北条地区の道端で 写真2013.9.7北条 背景は八石山 群生 写真2013.7.5西港町 淡紫色の花の個体と白色の花の個体が見られる
花から果実へ(花軸に花が交互につく) 写真2012.9.27裏浜 翌春にそのまま見られる果実 写真2013.3.24裏海岸 |
解 説 ナス科 ヨーロッパ原産で1907年ころに牧草に混じって渡来。その後次第に各地に広がった多年草。 渡来当時はオニクサと呼ばれた。要注意外来植物。有毒植物。 径3oほどの白色の地下茎を伸ばして繁殖する(左下写真)。 茎には鋭いと星状毛があり(左下写真)枝分かれし高さ30〜50pとなる。 葉は互生し、楕円状卵形で先端は尖り、基部はくさび形となり長さ1.5〜2pの柄をもつ。葉の長さ8〜15p、幅4〜8p。3〜4個の深い切れ込みがある。裏表両面に星状毛が多く、特に裏面の中央脈上に数本の直立したとげがある(上写真)。 花期は6〜10月。茎の途中から太い花枝を出して先端に数個の花をつける。花の色は白〜淡紫色。ガクは5個に裂けて細く先はとがり星状毛が密生する(下写真)。 花冠は皿状で広く開き径2〜3p。先は浅く5裂する。雄しべは5本、雌しべは1本あり花柱はヤクに囲まれ(上写真)、ヤクの先端に穴があいて花粉を散布する。 果実は液果で径1.5p。黄色に熟す。 命名者は牧野富太郎で名前の由来は畑で始末の悪い害草となることによる。 茎のトゲと星状毛 写真2013.7.1裏海岸 基部から上部の葉の形 写真2013.7.1裏海岸 ガク片 写真2010.7.10北園町 つぼみ 写真2010.7.10北園町 花冠 写真2010.7.10北園町 花粉を放出するヤクの先端の穴 写真2013.7.1裏海岸 白く長い地下茎 写真2010.7.10北園町 果実の中と種子 写真2014.2.1柏崎海岸 |