ツユクサ
暮らしとの関わり
 石黒では「ドンボ(蜻蛉)グサ」と呼んだ。「ツユクサ」と言うとムラサキツユクサを指した。
 方言名の由来は花を真正面から見ると蜻蛉の頭に似ていることによるものであろう。
 昔からツユクサは畑の強害草として嫌われた。群生しやすく取った草は放置しておくと再び根付いてしまうほど強い生命力を持つ草である。
 また、子どもの頃、理科の時間にツユクサの葉の気孔の観察をしたことを思い出す人もいるだろう。
 現在、このページ作成のために観察してみると、なかなか複雑なつくりの花序、花冠であることに驚く。また、蜜腺がないため昆虫に頼らずその多くは自家受粉による結実であるといわれる。今年は詳しく観察してみたいものだ。
 それにしても、花の色は実に美しい。

(写真上・右下2005.7.11落合 右上2005.7.9下石黒 )


          初夏のツユクサ

写真2005.6.20寄合

            花期のツユクサ

写真2009.9.8下石黒


        雄花   両性花-雌しべが大きい
   
 写真2009.9.7下石黒

        花のつくり〔雄花〕

           〔両性花〕

写真2009.10.1下石黒

        雄花と両性花がみられる


               草姿

写真2010.9.11下石黒

解 説
ツユクサ科
 日本全土の畑や道端などに普通に見られる一年草
 茎は軟質で地に伏し節から根を出すし枝分かれして斜めに立ち上がり、高さ20〜50pになる。
 葉は2列で互生し長さは5〜7p、幅1〜2.5p。葉柄の基部は膜質の鞘となって茎を抱き上の縁に長い毛がある〔下写真〕
 葉の付け根から長さ2〜3pの花軸を出しその先に内折りした包がある。〔下写真〕
 花期は7〜8月。花軸の先に包葉に包まれた花がつき包葉外に出て開く。包葉は緑色で2つにたたまれて重なっている。滑らかであるが両脇にまばらな毛のあるものもある。
 外花被〔ガク〕は3個で小形で無色膜質、3〜4o。内花被〔花片〕は上の2個は立ち上がり青色で長さ10〜13o、もう1個は小形で薄白色(上写真)
 雄しべは6個で2個だけ花糸は長く花柱とともに突きだして花粉を出すが他の4個はヤク〔花粉の袋〕が変形して仮おしべとなっている(左下写真)
 花は朝開き午後には閉じる。
 さく果は長楕円形で初め白色であるが後に褐色となり2つに割れて4個の種子をが現れる。
 種子は径7〜8o、黒褐色で凸凹がある〔下写真〕
 名前の由来は、露草で露を帯びた草の意味であるが古名は「ツキクサ」(着き草)と呼び、この花で布を刷り染めしたことによるともいわれる。



   葉の鞘の上縁の毛

写真2009.9.8下石黒

    二段に見える花
写真 22.9.16 新田畑

   花軸と内折する包

写真2009.9.8下石黒

  3種の雄しべがある〔雄花〕
写真2009.10.1下石黒

     ツユクサの種子

写真2009.9.28下石黒

       果実期

写真2009.10.16下石黒

    白色を帯びた花
写真2006.9.22大野