ツルマメ
暮らしとの関わり
 ツルマメは石黒の山道でよく見かける。花は目立たないが果実は大豆そっくりで思わず採ってみたくなる。大豆の原種であるというから無理もない。
 中学生の頃であったか、ハサで乾燥した稲束を背負って休み場で一休みをしていると、傍らの草藪でパチパチと音がするので、立ち上がって見ると豆に似たさや状果実のはじける音であった。
 10月の晴天の午後であったが、豆果の記憶からその果実がこのツルマメであったように思われる。
 時には、大きな群生に出会う。→参考画像
 今日(2015.7.29)の読売新聞の文化欄に「日本のダイズ、固有種の可能性」という表題の記事があった。その中で日本最古のダイズ属は、宮城県で見つかった縄文草創期(1万3千年前)のツルマメであり、栽培されることにより、その後、早期、中期と時代の推移とともに果実が大型化して来たことが記述されている。こうした例は中国及び東南アジアの複数地で確認されていることから、日本のダイスは固有種の可能性があると指摘している。
 また、当時の土器にツルマメの圧痕が異常に多く見られることから「豆まきで邪気を払うように何らかの目的で練りこんだと考えられる」との識者の推察が記載されている。


(写真上・右下2005.10.2落合 右上2005.7.23上石黒)


             花期のツルマメ

写真2009.8.26下石黒

            花のつくり

写真2007.9.11下石黒

            豆果と種子

写真2008.10.1上石黒


解 説
マメ科
 本州から九州に分布する一年草。明るい草地や道端に普通に見られる。
 茎は細く、他物にからみついて長く伸びて全体に細毛を密生する。
 葉は互生し長い柄をもち、3出複葉で、小葉は幅の狭い葉から広い葉と変化に富む。全縁で裏面は短毛が密生し白色を帯びる(右上写真)長さ4〜6p。先端はやや鈍形〜鋭形で短い柄がある。
 花期は8〜9月。葉のつけ根に数個の蝶形花をつける。
 花は淡紫色で小さく、長さ5〜8o。ガクは釣鐘形で先端は5裂し細毛がある〔左写真〕旗弁は平たい円形頭部はわずかに凹む。翼弁は旗弁よりも短く竜骨弁が最も小さい〔左写真〕。雄しべは10個、下方の9個は基部が癒着している。
 豆果は毛があり、長さ2.5〜3pで大豆に酷似する。種子は2〜3個あり、楕円形または腎臓形で多少平たい〔左写真〕。ツルマメは大豆の原種であるいわれる。
 名前の由来は、大豆に似てツルになることによる。



      細長い葉

写真2006.9.3落合

     幅の広い葉
写真2005.9.25落合

     大豆に似た果実

写真2007.9.21下石黒