ツメクサ

暮らしとの関わり
 ツメクサは、ありふれた庭の雑草であり、見たことのない人はいないと思われるが、最も知られていない草の一つでもあるかも知れない。
 筆者自身、その姿をつぶさに観察したのは今が初めてである。よく見ると花も葉もなかなか美しい。
 仮に、直径100mほどの花があったら、不気味な化け物で鑑賞どころではなかろうが、直径数oの小さな花は、目を近づけさえすれば愛でることができる。我々は、このような小さな植物たちとも、もっと関心を持ってつきあいたいものだ。
 日本原色雑草図鑑〔全国農村教育協会編〕によれば、ツメクサの他にノハラツメクサ、ウスベニツメクサがあるという。写真ではノハラツメクサはやや立ち上がり、ウスベニツメクサはほぼ直立している。今後、留意して観察してみたい。
 図鑑によっては、花弁よりもガク片の長い花もみられるが、花には個体差があるようだ。

写真2012.5.17松美町


          全体の姿と大きさ
写真2012.5.17松美町

  短い鞘のなって膜質で茎につながる葉

 顕微鏡写真 2012.5.17

                果実期-1
写真2016.5.29下藤井

               果実期-2

写真2016.6.10下藤井


解 説
ナデシコ科
日本全土の庭や道ばたに自生する一年草または越年草
 茎は株の元から分枝して数本〜多数の枝を広げる。高さは2〜15pほど。茎の上部には腺毛がある〔下顕微鏡写真〕
 葉は対生し針形で先端は尖る。基部は膜質でつながり短い鞘となる〔左顕微鏡写真〕
 花期は3〜7月。葉の付け根から長い柄を出して先端に白い小さな花を1個つける。
 ガク片は5個で卵形から楕円形。先は円形で外面には腺毛がある。花の径は2〜2,5o。
 花弁は5個、白色で卵形〜楕円形。長さはガクよりは短いか同じ〔上写真はガク片より長い〕。
 雄しべは5〜10個。花柱は5個。
 さく果は卵形で5裂する。種子は広卵形で長さ約0,3oで濃褐色。表面に尖った小突起が密生する。
 名前の由来は葉の形が鳥の爪に似ていることによる〔上写真〕。



      茎の腺毛

 顕微鏡写真 2012.5.17

        果実
写真2016.5.29下藤井

      種子
採取・撮影2016.6.10