タコノアシ | |
暮らしとの関わり タコノアシは、石黒では現在(2006年)3箇所にしか見られない。川辺の水田の周りなどに生えるため、刈り取られたり除草剤を撒かれたりして、今では激減をしたため、なかなか出会うことができない植物である。 こうした環境変化により全国的に絶滅したところが多く、環境省の絶滅危惧種U類に指定されている。2001年における準絶滅危惧種〜絶滅危惧T類の指定範囲は本州から四国・九州のほとんどをカバーしてしまっている。→参考資料 これらの絶滅危惧種を、今後、守っていくためには多くの人々、とくに農家の人たちに、その草を知ってもらうことが大切であると思う。 2007.10.4に石黒川下流で2箇所確認したものは、どちらも3本ほどの小株。(下写真) 下石黒川沿いの自生地は年々少しずつ増えていたが人家に近く、川に農具など洗うためり道沿いにあり、除草剤がかけられてほとんど枯れてしまっていたので、タコノアシが国の絶滅危惧種に指定されていて柏崎刈羽でも絶滅寸前であることを話して理解を得た。村人の協力のお蔭でこの場所では再び個体が増えつつある。 2010年の春に上石黒の自生地に行ってみると、どん詰まりにあった小さな田が耕地整理されて見違えるような広い田に変わっていた。かつてタコノアシが自生していた場所は確認さえできなかった。 しかし、今年(2010)の6月に再び訪れてみると、新しい田の畔際に幼苗が今までより広い範囲に生えていた。諦めていただけにとてもうれしいことであった。しかし、今までとは環境が大分変わったので心配である。特に他の植物との生存競争に弱いと言われているので今後の様子を見守っていきたい。 ちなみに、タコノアシは、もともと同じ場所に長期にわたって生育することはなく、自生地が移動する植物であるということも頭に置いて石黒地区広範囲にわたって今後も調査観察していきたい。 先述のとおり、全国では本州のほとんどの県が絶滅危惧種T〜絶滅危惧種に指定して、T類に指定している県が7県にも及ぶ。新潟県はU類指定であるが、柏崎、刈羽はT類に該当する現状であることは確かである。 〔写真上2006.10.18 右上2006.7.12 右下2006.8.4 上石黒 〕 幼苗−1 幼苗−2 写真2007.5.4 下石黒 写真2015.4.7 観察栽培松美町 若草 写真2009.6.9 下石黒 花期のタコノアシ 写真上2006.8.18上石黒 タコノアシ花拡大 写真上2006.8.18上石黒 果実期 写真上2009.10.15下寄合川沿い 種子散布期 写真上2009.10.31上石黒 種子の拡大 撮影2010.12.10 |
解 説 ユキノシタ科 青森から奄美大島まで分布する多年草。 ふだんは陸地で、増水したときに水をかぶるようなところに好んで生える 茎の基部は地中にありやや肥大している。また、 ふつう数個の走出枝を出す。茎の上部は円柱形で直立し、色は黄紅色で高さ70pほど。分枝はしないでふつう淡紅色を帯びる。※筆者の観察では果実期の茎は表面のみならず芯部も薄紅色である(写真下)。 葉はほとんど無柄で互生し、質は薄く幅は狭く、長さ5〜12cm、幅約1cm。(下写真)縁には鋸歯がある。 花期は8〜10月上旬。茎の先がタコ足状に分枝してその上側に多数の黄白色の花をつける〔下写真〕。 果軸の片側に黄白色の小花を開が、初めは先端が渦巻き状に巻いていて後に開きいて斜上し長さ4〜12pとなる。 花序には短い腺毛が散在し小花の径は4〜5o。柄は非常に短い。 ガクは5裂、裂片は卵形先端は尖る。花弁は無く裸花。雄しべは10個でガクよりも長い。子房は5個、基部が合体し卵形で花柱は短い(左下写真)。 さく果は5室、輪状に並び、下部は合体し各室の上部は帽子状の蓋となって開いて細かい種子を飛ばす〔左下・下写真〕。 現在では、環境変化により絶滅したところが多く国の絶滅危惧種に指定されている。 名前の由来は、花が並んでつく様子が、吸盤の付いた蛸の足のように見えることによる。 幼苗−3(観察栽培) 写真 2021.5.18 松美町 葉の表裏 (写真2007.9.1 上石黒) |