t9999

タガネソウ
暮らしとの関わり
 タガネソウは、石黒では稀に見られる野草である。スゲ属では、その葉の形態から変わり種の野草といってよい。
 とくに、春の若葉は、いうに言われぬ優しい美さをもつ。
 花は、春、葉に先立って現れるが、見るに値しないほど地味であり、葉の美しさがこの植物の身上である。
 庭園のグランドカバーにも使える野草である。丈が短く、筆者の庭での観察によれば繁茂し過ぎることもない。
 ただ、冬季には葉が枯れるために晩秋から春先には、景観がよくないという短所はある。
 根は、しっかりと張っていて引き抜こうとしても簡単にはいかない。

(写真2005.7.14下石黒 右下2005.6.18下石黒)


               小群生

写真2012.5.13下石黒

         雄花と雌花

写真2005.6.18下石黒

  花茎の基部を包むサヤ状の葉

写真2009.5.12下石黒

             花期

写真2009.5.17下石黒 石黒の庭に植えたもの

          走出枝を出して増える

写真2013.4.29矢田

解 説
カヤツリグサ科
 北海道から九州までの各地の山地の林の中に自生する多年草
 根茎は短いが長い走出枝を出して群生する。高さ10〜40p。
 葉は走出枝のものがよく発達し根元から5〜6枚、竹の葉に似た葉を出す。長さ12〜23p、幅1.5〜3p。裏面に軟毛を生ずる。質は軟らかい。
 花期は5〜6月。葉の株から離れたところの前年の株から数本の花茎を出す。高さ20〜30p。花茎の基部は赤褐色のサヤ状葉に包まれる(左下写真)
 花茎の上の方には黄茶色の雄花、下の方には淡い赤紫色の雌花がまばらについている〔左写真〕は長いサヤがあり葉身は短い。鱗片は長楕円形でとがり汚紅色の細かい点がある。
 果胞は鱗片より短く長楕円形で長さ3p、無毛で脈が隆起しは短い。柱頭は3個。 
 名前の由来は、葉の形が鍛冶職が用いるタガネに似ていることによる。



      若 草

写真2009.4.17寄合

     葉裏の細毛
写真2013.9.3下石黒

  赤色を帯びる鞘の基部
写真2013.4.29矢田