スズメノヤリ
暮らしとの関わり
  道端にあるが、よく注意しないと見逃してしまいがちの野草である。石黒で最初に出会ったのは国道353線の小岩トンネル入口広場にある、田中角栄筆による田辺伊久村長の顕彰碑の周りであった。
 葉に白色の長い毛があることと根が塊状であることが特色である。花は地味であるが縁の白い花被に囲まれた6個の雄しべを見ることができる。成熟した種子は黒く広卵形で、同大の白い種枕がついている様子が肉眼でもよく観察できる。
 また、昔、凶作で食料不足の時にはこの種子を食べた記録もあるという。

(写真2010.6.26小岩トンネル入り口・右上2007.5.30 上石黒)


                全体の姿


               上から見た草姿

              花序拡大

     雌性先熟で雌しべは既に枯れている

写真2012.5.5上石黒

     雌しべと雄しべが同時にみられるものもある

写真2011.5.8上石黒

         葉の縁の白く長い毛

写真2012.5.5小岩トンネル入り口

               小群生


写真2012.5.5小岩トンネル入り口

                  群生

写真2015..4.15安政町


写真2013.6.4安政町



解 説
イグサ科
 日本全国の山野の原野や芝地によく見られる多年草
 地中には小さな塊状になる地下茎があり、「シバイモ」の呼び名もある。
 葉は線形で5〜15p、巾2〜3o内外。葉質は堅く葉の縁には白色の長い毛がある(左写真)
 花期は4〜5月。多数の花軸を出し球形〜卵形の頭花を1個つける。まれに2〜4個の小頭花に分かれることもある。
 花被片は皮針形で先は尖り背部は褐色。縁は白色膜質。
 雌性先熟の風媒花で、花被片が閉じたまま柱頭が伸びて受粉し、柱頭がしぼんでから花被片が開いて雄しべが出る。同時に見られることもある。(左下写真)
雄しべは6個で花被片より少し短い。ヤク(花粉袋)は長さ2o内外、花糸(雄しべの柄)はごく短い。
 さく果は卵形で褐色から黒褐色。種子は倒卵形で長さ1o内外(上写真)
 種子の基部には種子の半分ほどの白い種枕(しゅちん−ヘソ近くの付属物→アリの好むもので種子散布の働きがある)がある。
 名前の由来は雀の槍の意味。



       花序の誕生

写真2012.5.5上石黒

   花序を下から見た様子

    6個の雄しべの様子

写真2012.5.20上石黒

        果実期

写真2012.5.20上石黒

      果実散布期

 写真2012.6.1上石黒

   種子の半部の大きさの種枕