サイハイラン
暮らしとの関わり
 サイハイランの葉は、初秋に地上に出て晩秋から初冬の石黒の雑木林でよく目につく。
 特に、葉を落とした初冬の落葉樹の明るい林床ではその鮮やかな緑色の葉が人の目を引きつける。多雪地帯の石黒では雪が解けた林床でも同様に人目を引く。
 観葉植物の一種と言ってもよいほど美しい斑入りのものもある。〔下写真〕
 そのような美しい葉に比べ、花は地味そのもので少しも目立たない。
 植物図鑑等によれば、花は変異に富み自生地によっては非常に美しい花を咲かすものもあるという。しかし、残念ながら石黒で今までに出会った花は右上写真のような見栄えのしない花ばかりであった。石黒言葉で言えば「どってぇようもねえ花」だった。
 しかし、今日、(2009.5.28)寄合地内で美しい花に出会った(下写真花)。
 自分が今まで見ていたのは最盛期を過ぎた花だったのだろうか。それとも目線が上過ぎたのだろうか。あるいは、やはり、生えている地質によって花の色が異なるのであろうか。
 いずれにせよ、私のサイハイランの花に対する認識はこの日を境に変わったことは確かである。
 その後注意して観察しているが、時期、自生地は言うまでもないが、目線も大いに関係しているように思われる。
 現在、自分がつまらないと思っていても、目線を変えて見るなら意外に美しい花姿をもった植物は他にもあるに違いない。
資料→サイハイランの花のつくり

(写真上2004.12.2下石黒 右上2005.6.9寄合 右下2005.8.4居谷)


         初冬の雑木林のサイハイラン

写真2009.12.7 下石黒  

      サイハイランの葉、花茎、根茎

写真2009.5.28 大野  政栄


   斑入りの葉(多く見られる)

写真2007.10.10 寄合

           つぼみ
          写真2010.6.10 寄合

         サイハイランの花

写真2009.5.28 寄合

           秋に出る新葉

写真2005.9.9 寄合風張り

                 葉の3主脈

写真2010.12.1下石黒
解 説
ラン科
 日本全土の林の中の薄暗い所でよく見かけられる多年草
 鱗茎は浅い地下にあり球根状で白色
(下写真)漢方薬として用いられる。食用にされたという記録もある。 
 葉は花後に1〜2枚で鱗茎の先から出て地に伏し冬を越してから枯れる。
  葉の長さ30〜40pで縦に3主脈がとおっている
〔左下写真〕
 花期は5〜6月で、直立した30〜40pの花茎を伸ばし、やや赤紫がかった黄褐色の花を15〜20個、かた側に下向きにつける。花の長さは3pほどで半開にとどまる。披針形
(下写真)
 
唇弁は紅紫色を帯び、長さ3p内外、唇弁は厚く軟骨質、上部は3裂し裂片は互いに平行し中裂片基部には肉質の付属物がある。はない。
 花柱は長く唇弁と平行する
〔下写真〕花色は紅紫色から黄褐色まで変異に富む〔左写真
 花は茎の一方に偏って下向きにつくため、武将が使った采配に似た形となる。このためにこの名が付いたと言われる。 



  サイハイランの球根状地下茎

写真2009.5.28 大野  政栄

   サイハイランのつぼみ

写真2009.5.28 大野  政栄

         花期
写真2009.6.4 大野  政栄

   サイハイランの花の拡大

写真2009.5.28 寄合

        果実−1
写真2009.10.7 下石黒

        果実−2

写真2020.11.15下石黒

     サイハイランの種子

写真2009.10.8 居谷

       披針形の苞

撮影2011.6.1寄合