リンドウ | |
暮らしとの関わり リンドウは、ふだんは道ばたなどの草陰にあって目立たず、秋が深まってから花が咲くとようやく、その存在が認められるというよう植物の一つである。 石黒では、道ばたの土手などに、しばしば見受けられる。鮮やかな紫色の花は、日本の秋を代表する花に相応しい品位と美しさがある。 しかし、ほとんど倒れたような形で斜めに伸びているため、昔から、リンドウは仏様の花(仏壇に供える花)にもならないと言われた。 だが、たまに庭に移植されたリンドウを見るが、筆者には、どこかリンドウらしからぬ風情を感じてしまう。リンドウはやはり、野にあって草むらに、それとなく咲いているものが最上に思われる。 秋には葉の紅葉したリンドウも見かける。〔下写真〕 (写真2004.10.28 落合) 春の様子 写真2009.4.29 下石黒 夏の頃の草姿 写真2013.7.6下石黒 裂片の間の副裂片 写真2005.10.19 寄合 花の形と花筒より長いガク 写真2004.10.15落合 ツボミから開花までの様子 写真2020.10.18下石黒 さく果と種子 写真2009.11.28板畑 政栄 ※種子(上写真)に翼がある やや肥大する根 写真2009.5.9下石黒 晩秋のリンドウ(黄葉はチゴユリ) 写真2008.11.8下石黒 紅葉したリンドウ 写真2005.10.28 寄合 初冬の様子 写真2009.11.24上石黒高床 |
解 説 リンドウ科 本州から九州の山野に普通に見られる多年草。日本だけで50種が認められるという。 根茎は淡黄色でやや肥大して長くのび、多数のひげ状の根をつる(左下写真)。 茎は倒れたような状態で斜め上に伸びるものが多い。長いものは80pにも及ぶ。 葉は互生し柄はなく、茎を抱き3条の縦に走る脈が目立つ(下写真)。包葉は細くて小形(左下写真)。 花期は9〜11月。茎の頂または上部の葉のつけ根に紫色の筒状の花をつける。茎の頂には5〜6個かたまってつく。 ガクが5裂し裂片は細く尖りやや反り返って筒部よりも長い(左下写真)。 花は鐘状で5裂し裂片の間に更に副裂片がある(左下写真)。雄しべ5本、雌しべ1本(下写真)。 さく果は細長く、熟すと2片に裂ける。下に残存するガクと花冠をつけている〔左下写真〕。 種子には小さな翼がある〔左下写真〕。 名前の由来は、根や茎が非常に苦く熊の胆に勝り、竜の胆ほど苦いという意味の「竜胆」が変化したものという。 ちなみに、リンドウは源氏とゆかりの深い家紋の模様で、源義経や木曽義仲、さらに、江戸時代には清和源氏ゆかりの武家が用いた。 ブナ林床の幼苗 写真2013.6.29下石黒 春のリンドウ 写真2009.5.4上石黒 葉の3条の脈 写真2008.10.21 落合 つぼみ 写真2013.10.10落合 包葉 写真2004.10.15落合 花の中 写真2008.10.21 落合 5個のおしべ 写真2004.10.15落合 野菊とともに 写真2009.10.14上石黒 |