オトギリソウ | |
暮らしとの関わり オトギリソウは、石黒では道端などに普通に見られる。藪の中にあっても一見、園芸種のような風格のなため目につきやすい。真っすくに伸びた茎と、対になって茎を抱くようにつく草が美しい。 上の写真は2005年7月に板畑集落の道端(中村治平宅下道)で撮ったものである。その場からの眺望もよく、捨てがたい画像のひとつである。 オトギリ属は日本だけで50に及び、正確な同定は簡単ではないといわれている。 また、オトギリソウは昔から傷薬をはじめ様々な病気に対する薬効がある植物として知られている。 名前の由来の伝説(右解説欄)も、その優れた薬効を物語るものであろう。しかし、筆者は石黒で、子供のころからオトギリソウが薬草であると聞いたことはない。 ちなみに、オトギリソウ(セイヨウオトギリソウ)は古代ギリシャ時代から心を静めるハーブとして注目され、ヨーロッパとくにドイツでは、現在、うつ病に対するセイヨウオトギリソウを成分とした薬の処方が行われているとのことである。 写真2005.7.12板畑 梅雨明け前のオトギリソウ 写真2005.7.25上石黒 オトギリソウの葉のつきかたと油点(黒点) 写真2005.7.4上石黒 黒点と黒腺が入るガクと花弁 写真2009.7.17大野 草やぶの中のオトギリソウ 写真2009.7.17下石黒 花期から果実期へ 写真2015.8.27 旧野田小学校付近 海辺のオトギリソウ 写真2012.10.8笠島 |
解 説 オトギリソウ科 全国の山地に広く自生する多年草。地下茎は木質。 茎は円柱形で1本立ちか数本束生し分枝〔枝は急角度−左上写真〕する。高さ30〜70pで緑色。茎上部で分枝する。 葉は長さ3〜6pで対生し両方の葉が接近して茎を抱くようについている〔左写真〕。全縁で葉を透かしてみると散在する黒い油点が多く見られる。縁には黒点が並ぶ〔写真下〕。 花期は7〜8月、花径は約1.5pで日中だけ開く1日花である。包は葉状。緑色のガク片は5個、花弁も5個で長さ9〜10o。ガク片花弁ともに黒点や黒い線が入る(下写真)。花はやや巴(ともえ)状にゆがんだ形をしている。 子房には3本の花柱がある。長さ3.5〜4o。 さく果は長さ5〜11oで、種子は細網紋があり長さ1o。〔下写真〕 茎や葉は民間薬に用いる。 名前の由来はこの草を原料とした秘薬の作り方を他人に漏らした弟を兄が斬り殺したという平安時代の伝説によるもの。 花言葉は「復讐」「秘密」。 つぼみみの頃 写真2005.7.4上石黒 縁に並ぶ油点 写真2009.7.17大野 やや巴状の花 写真2009.7.17大野 つぼみ、花、果実 写真2015.8.27野田 さく果 写真2009.10.8大野 政栄 根の様子 写真2009.8.11下石黒 |