オオカニコウモリ
暮らしとの関わり
 オオカニコウモリに昨日(2010.6.11)に石黒地内で初めて出会った。場所は上石黒の雑木林の中である。思いもかけない出会いであった。オオカニコウモリは柏崎市街地周辺でも極めて稀にしか自生していな野草だからだ。
 30年ほど前(1980年代)、未だ野草にそれほど興味のなかったころ、ヤマノイモ堀りにでかけて見かけない野草に出会った。葉の形がカニの甲羅を連想させたので1本だけ自宅の庭(松美町)に移植した。植物図鑑で調べると、何と「カニコウモリ」とあったので忘れることのできない植物となった。しかし、庭に移植した個体は4〜5年ほどで消えてしまったように記憶する。(知らなかったとはいえ自分は希少植物を盗掘したのであった)
 しかし、その後、市街地周辺の山でも2カ所しか見かけていない。それも、2〜3株である。
 同年10月の初めに、野草の果実や種子の撮影のため石黒にでかけ、昨年の記憶をたどってオオカニコウモリの自生していた場所に出かけた。
 上石黒の林道から林に入って20mほどの場所で近くにある二本のオニグルミが目印であり、容易に秋に再来できると思っていた。しかし、季節とともに林床の草の様子もすっかり変わり、オオカニコウモリはついに見つけることは出来なかった。
 先日(2012.6.6)、撮影手帳にメモしておいたオオカニコウモリを探して記憶にある自生地を2年ぶりに訪れたが、やはり出会うことはできなかった。2本のオニグルミの周囲、わずか10aほどの場所であるが探し出すことはできないとはどうしたことであろう。
 筆者は、石黒のブナ林のほとんどは歩いているつもりであるがオオコウモリは、この場所以外では出会ったことのないので石黒ではきわめて希少な野草であることは間違いない。
 今年(2013)は、今一度、もう一度6月に訪れてみたいと思っている。

写真2010.6.11上石黒


              春の頃の様子


写真2011.5.2畔屋

        
夏の頃、ホウチャクソウと共に

 写真2010.6.11上石黒
           
葉の形の縁の鋸歯

     
写真2010.6.11上石黒
解 説
キク科
 本州北部から中国地方の山地までの落葉樹林の中に分布する多年草
 東北地方では太平洋側寄り、中部および関西では日本海側にかたよっている(牧野植物図鑑)が、日本海側型分布とされている。
 茎の高さは50pほどで節ごとにくの字に曲がる。
 葉はまばらに2〜5葉を互生し腎形てやや五角形。幅9〜27p、長さ5〜18pで膜質で裏面の脈状には葉柄とともに淡褐色の縮れた長毛がある(左写真)
 縁には不整の鋭い鋸歯がある(左下写真)。葉柄は葉身より短く基部には耳状のはない(上写真)
 花期は8〜10月。茎の頂に多数の頭花集散状につく。総包は長楕円形で下部は白色で上部は紫色を帯びる。総包片は5個、楕円形で乾皮質、頭花は5個の白色管状花からなり冠毛も白色。
 名前の由来は大型のカニコウモリ、カニコウモリは葉がカニの甲羅に似ていることによる。



    葉裏脈状の長い毛

写真2010.6.11上石黒

       秋の様子
写真2011.12.6畔屋