オオハンゴンソウ
暮らしとの関わり
 石黒で野生のオオハンゴンソウの群生が見られるのは落合集落である。(参考写真)特に落合川上流周辺(かつては東頸城郡嶺集落地内−地名ミネヤマ)に多い。
 そのほか、居谷と上石黒地内の石黒川上流でも小さな群生が数か所見られる。その他の集落ではほとんど見られない。(2010)
 棚田の周りに生えたものを刈り取らないでおく人もあり、8月中旬には見事なオオハンゴンソウの花が見られる。
 昔は、同種で八重咲きのものを石黒では「チョウセンギク」と呼ばれ盆花として花壇で栽培した。好みもあろうが、一重の花の方が清楚で美しいと思う。
 牧野図鑑によると「八重咲きのものが今は多く、各地でほとんど雑草となっており、これをハナガサギク(花笠菊)という」とある。一重咲きの方が花笠に似た形に見えると筆者には思われるが・・・。
 下石黒では昭和20年代は八重咲きのものが「チョウセンギク」と呼ばれ多くの家で栽培されていたが、野生化したものには出会わない。落合のオオハンゴンソウは特に川沿いに見られるので、川上の嶺集落から川伝いに運ばれてきたものであろうか。
 種子と根の両方により繁茂するため、生態系に及ぼす影響が危惧され、現在では外来生物法により特定外来生物に指定されている。しかし、石黒ではここ6〜7年にかけて観察しているが特に個体の増加はみられない(2010)。
 ちなみにハンゴンソウは石黒には自生せず、オオハンゴンソウとは葉は似ているが花は全然異なる別属の植物である。

(写真上・右下2005.8.9落合 右上2005.8.2落合)


             開花直前の様子

写真2009.7.28落合

          花期のオオハンゴンソウ

写真2009.8.11落合

         葉の様子と上部の枝

写真2009.7.28居谷

        庭に植えられたオオハンゴンソウ

写真2009.7.28居谷


  昭和50年代まで多くの家で栽培されていた種

写真2007.8.3下石黒

          庭に植えられた大ハンゴンソウ

写真2017.8.4鵜川地区

解 説
キク科
 北海道から本州中部以北の道端や土手などに生える大形多年草
 明治時代に園芸種として輸入されたものが野生化した帰化植物
 茎の高さ1〜2m。上部で枝分かれする。
 下の葉は柄があり羽状に5〜7裂し、上の葉は3裂が多く最上位のものは全縁である(左下写真)。
 花期は8〜10月。長い花柄の先に径6〜7pの黄色の頭状花をつける。舌状花は長く下垂する〔左下写真〕総包片は2列で長楕円形で先はとがり、花期には反り返る〔下写真〕舌状花は黄色で一列、筒状花は多数で緑黄色〔上写真〕。 
 花床は花が終わった後に伸びて円錐形となり鱗片は舟形で果実を包みヘラ状。
 八重咲きのものをハナガサギクと呼ぶ。
 名前の由来は大形の反魂草の意味。
 


      総包片

写真2009.8.11落合

      果実期へ

写真2010.10.17落合
        そう果


写真2006.10.19落合

   春のオオハンゴンソウ

写真2008.5.19板畑

 花期前のオオハンゴンソウ

写真2005.6.18落合

       茎の断面

写真2006.8.11居谷