ムシトリナデシコ
暮らしとの関わり
 石Kでは野草としては希な植物であるが、子どもの頃に家の軒下周辺でよく見た記憶がある。茎の一部から飴色の粘液を出すことが強く印象に残っている。
 子どもの頃、実際に虫の死骸がついているのを見て驚いたことを覚えている。この粘液はアリによる吸蜜を避けるためのものとも言われている。
 2007年の6月に、寄合地内で畳一枚ほどの群生(下写真)に出会い目を見張る思いであった。しかし、翌年には群落は消えて他の野草が繁っていた。前年(2006)の発生の様子はわからないが、その消滅の早さには驚いた。

(写真上2006.7.11上石黒−高床  右2007.6.18寄合 下20070624 下石K)



写真2011.7.7大野
        
                群生

写真2007.6.29寄合

   ムシトリナデシコの種子散布についての考察

石黒では、左写真のように雁木や軒下に自然に発芽したものを育てたというムシトリナデシコをよく見かけるが、最初の種子はアリが運んだものではないだろうか。
しかし、手元の図鑑にはアリによる種子散布の記述はない。
写真2010.6.26下石黒

                 花期

写真2005.6.17 下石黒 神社石段脇


解 説
ナデシコ科
 ヨーロッパ原産の帰化植物で江戸時代末期に渡来した一年草。 観賞用に育てられたものが野生化したもの。
 全体が無毛でやや粉白色を帯び、茎の高さ20〜50p。茎の上部から褐色の粘液を出す(下写真)
 葉は対生し茎を抱くようにつく。(左下写真) 
 6〜7月頃に枝の先に紅色の小さな花が多数集まってつく。花の径は1pほどでガク片は、こん棒状で長さ1.5p。花弁は5個で平開する(上写真)
 しばしば白っぽい花、濃い紅色の花もみかける。(下写真)
 河原などで群落をつくることもある。
 名前の由来は、上部の茎下の節に粘液を出す部分がありここに小昆虫がくっついて動けなくなることからことから、この名がつけられた。
    



   茎の粘液とアリの死骸


写真2006.7.9上石黒

     葉のつきかた

写真2006.7.9上石黒

     花の色比較  

写真2007.6.18下石黒

写真2009.6.14上石黒

       果実
写真2005.7.8上石黒

       種子
写真2010.7.17下石黒