キクイモ | |
暮らしとの関わり 石黒では、「カライモ」と呼んだ。方言名の「唐芋」の由来は、本種が江戸時代に北アメリカから移入されたことによるものと思われる。 太平洋戦争中には加工用や食用として盛んに栽培された。当時は、どこの家でも屋敷周りに植えていた。 筆者生家の庭先の斜面にもキクイモが群生していた。半栽培の群生であったと思うが、秋になると、その根茎を掘り起こして味噌づけにして食べた。牧野植物図鑑にも「食用にするが、まずい」とあるが、サクサクとした歯ざわりはよかったが、土臭さがあり、いまいちの味であっ。 また、子どもの頃には、秋に、この茎にカヤの茎をさして中からスポンジ状の芯を押し出して遊んだ。 戦後は顧みられず放置されたままのものが石黒では現在、野生化している。〔下写真〕 最近、糖尿病患者の食べ物やダイエット食品として見直されていると聞く。 今日(2012.10.3)、松波海岸に行くと鯖石川河口近くにキクイモの花が目を引いた。こんなに海に近い場所で見るのは初めてなので近づいて確認すると、やはりキクイモであった。潮風がもろに当たる場所であるが塩害の症状も全然見られない。全体に毛が密生していることにもよるのだろうが、やはり強靭な生命力をもった植物なのであろう。 (写真2004.9.25上石黒 右下2008.10.28下石黒) 茎上部と下部の葉のつきかた 写真2005.10.7 板畑 群生したキクイモ 写真2005.6.7 上石黒 管状花 写真2006.10.13落合 海岸のキクイモ 写真2012.10.3 松波町
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解 説 キク科 北アメリカ原産の帰化植物。要注意外来植物。 全国各地に見られる多年草。もともと根茎を食するために栽培されていたものが野生化したもの。 地下には茎の先が肥大した芋がある〔上写真〕。 茎の高さは1.5〜3mになり、葉とともに粗い毛が密生していて触るとざらつく。 葉は下の方は対生し上部は互生する〔左写真〕。縁にはまばらな鋸歯があって大きな3脈が目立つ。葉柄には翼がある(下写真)。 10月の初め頃に茎の上部が枝分かれして直径6センチほどの黄色い頭花をつける〔下写真〕。周辺の舌状花は細長く10個以上ある。 名前の由来はキクのような花が咲き、地下に芋があることによる。 つぼみ 花〔頭花〕 総包片 写真2006.10.13落合 キクイモ茎 写真2008.10.28下石黒 葉の形と三脈と柄の翼 まばらな鋸歯 写真2010.10.12下石黒 |