ケチヂミザサ
暮らしとの関わり
 石黒では、林の縁の道端など普通に見られる草で、春の若葉は美しい。また、秋、毛や種子の芒についた夜露が朝日にきらめく様にも思わず立ち止まって見とれてしまう。
 しかし、道端に生えているため靴下などにこの種子がつくと細かいだけ取り去るには大変である。これは、イネ科に多く見られる芒(のぎ)ノギが、種が熟すと出す特殊な粘液によるもので、動物の体など付着して種を散布するためのものである。
 また、よく観ると花もなかなか複雑な形をしている。右下写真のように2本の白い鳥の羽のようなものが見られるが、これは雌しべの柱頭で、これに葯〔ヤク〕から放出された花粉がついて受精が行われる。

〔写真上2005.7.28下石黒 左上・下2005.9.16板畑〕




         小穂のつくり

写真2008.8.30落合

           茎の節から出た根

写真2005.8.16板畑

         花期のケチヂミザサ

写真2008.8.30落合


             コチヂミグサ
写真上2006.7.14下石黒

解 説
イネ科
 日本全国各地の林の縁や明るい林内に多く見られる多年草
 茎は細く長く、その下部は地面を這い枝分かれして節から根を出して繁茂する〔左下写真〕。 
 葉は互生広皮針形で先は尖り、質は薄く鮮緑色で波打っていて基部はクサビ形か鈍円形で葉舌〔写真準備中〕はごく短く葉鞘もやや短い。長さは3〜7p、幅1〜1.5p。全体に毛がある。
 花期は8〜10月。花穂は茎の先端につき長さ高さ6〜12p。花穂には短い枝がありその枝に1〜3個の小穂をつける。〔下写真〕小穂の第1穎第一には長い(のぎ)がありその内側が第3穎でごく短いがある〔左写真〕
 護穎と内穎は黄白色で革質かたく相抱いている。
 秋になると芒の上に粘つく液体を出し獣や人について種子の散布をはかる。
 名前の由来は全体に毛が多いことによる。毛のないものはコチヂミザサと呼ぶ。



        茎の毛

写真2005.8.16板畑

       花柱と葯

 第一包頴の長い芒〔のぎ〕

 写真2005.9.1板畑