カワジシャ(オオカワヂシャの秋咲か−同定中)
暮らしとの関わり
先日(2021.10.12)、田塚地内の水田脇の溝の所々に群生している植物に出会った。一見したところ既に本サイトに掲載している植物に違いないと思った。確認のためその場でスマホで検索してみたが意外なことに該当する野草は見当たらない。イボグサアメリカタカサブロウあたりと勘違いしたらしい。
 そこで、20枚ほどの写真と現物2、3本を持ち帰り調べることにしたWEB上で調べたが帰化植物のオオカワヂシャとの区別がつかなかった。現場にも数回訪れて調べてみたが同定できないので、ひとまずここでは下記の特徴から
@花序基部の葉の鋸歯がはっきりと目立つ。
A花が小さく、青色が薄い。
B花序が真っすぐに斜上する。
C茎基部の葉は柄があり幅が広い。
D雄しべが雌しべの近くに寄っている。
 しかし・・・・・一方、
@花冠の雌しべが長いこと。
A茎が紫色を帯びていること
B鋸歯が不明瞭の葉が多いこと。
などからオオカワヂシャではないかという疑問も多大に残る。
 ともあれ、人生、80才半ばでの新たな出会いは、人であれ野草であれ特にうれしく思われる。また、こうして即座に同定できないこともあながち困ったことではない。何度も現場を訪れて相手と関わりを深めることで一層に親しみを増すことができるからだ。
 今日(2021.10.17)も現場を訪れたかったが、気温12度、で終日冷雨の一日で叶わなかった。
 是非、今後も出会いを大切に観察を続けたい。

写真2021.10.12 田塚


         幅の広い茎基部の葉

 写真 2021.10.12 田塚

同一個体に見られる明確な鋸歯と全縁にちかい低い鋸歯

 写真2021.10.15 田塚


        真っすぐに斜上する花柄

 写真2021.10.15 田塚

   葉の小さく目立たない鋸歯と茎を抱く葉の基部

 写真2021.10.14 田塚

           幼苗の頃の全体の様子

写真2021.10.12 田塚

       茎の基部の葉には柄が見られる
 写真2021.10.12 田塚

    花はオオイヌノフグリに酷似(※但し大きさ3/1程)
  カワヂシャ(大きさ右の2分の1)       オオイヌノフグリ
   
 写真 2021.10.12 田塚  写真 2005.4.19 大野

   果実(幼果) ※柱頭はガクとほぼ同じ高さ

 写真 2021.10.22 田塚


      写真2 2021.11.13 田塚


解 説
ゴマノハグサ科
 水田や河川、湖沼の岸辺に自生する二年草。若い苗は群生してその葉が薄紫色を帯びる。
 茎は紫色を帯び太く基部は這うようにして葉腋から根をだして立ち上がり20〜60pほどになる。(左写真)
 葉は対生し長楕円形で上部の葉は茎を抱くが基部の葉は有柄。しばしば葉脈は紫色を帯びる。(左上写真)
葉の縁には細かい鋸歯が見られる。筆者の観察によれば、鋸歯が明確でない個体もみられる。
 花期は5〜6月。(※ただし本ページの個体のように秋に開花しているものも見られる)
 花はオオイヌノフグリに酷似するが直径4mmと小型である。花冠は深く4裂し色は薄い青色で青紫色の条がある。雄しべは2個、雌しべは1本、ガクは4裂し長楕円形で先は尖る。
 果実は球形のさく果で直径3mm。中には細かな多数の種子をもつ。
 名前の由来は「川ヂャシャ」で川べりに多く見られることによる。



       葉の鋸歯-1

 写真2021.10.15 田塚

      葉の鋸歯-2

 写真2021.10.15 田塚

   花冠を横に広げる様子

 写真2021.10.14 田塚

     花穂の様子
写真2021.10.14 田塚

     花冠の大きさ
  写真2021.10.22 田塚

    ガクと花の様子
 写真2021.10.14 田塚

 雄蕊が雄蕊の近くに寄っている
 写真2021.10.18 田塚

     茎の基部

 写真2021.10.14 田塚

   種子 (目盛りは1mm)

 撮影 2021.10.28 松美町