カキラン
暮らしとの関わり
 石黒では滅多に見かけない植物の一つである。子どもの頃からの記憶にもない。
 もともと限られた場所にしかなかった野草に違いない。現在では、寄合と上石黒の2ヶ所しか確認していない。それも、個体数は極めて少ない。
 ランとしては花が小さいが、草全体の姿が整っていて園芸植物を想わせる。石黒でも、乱獲等が絶滅の危惧される野草である。
 6月(2009)の初めに寄合の自生地を訪れたが一本も確認出来なかった。もともと農道の山よりの傾斜に自生しているため除草剤がかけられたか、または盗掘されたものと想われる。

(写真2005.7.3寄合)


 紫色を帯びる下部の茎と下部の葉(中部の葉と比較)

写真2007.6.2寄合

    花の終わったカキラン

写真2005.8.26上石黒

        カキランの花


写真2005.7.3寄合

解 説
ラン科
 北海道から九州の日当たりの良い湿地に生える多年草。高さ30〜40p。
 茎の下部は紫色帯びるが他は緑色(左下写真)。高さ30〜50cmで質は強い。
 根茎は横に這い、多数のひげ状の根を出す。
 葉は互生し、長さ7〜12p、幅2〜4pで付け根は茎を抱き質は厚く脈がはっきりしている。(左下写真)中部分の葉が最も大きい。 根元に近い葉はサヤ状で花に近い葉は縮小して包葉となる。包葉は細く柄がない(下写真)
 花は7月頃、直径1.5pほどの花を3〜10個ほどつける。蕚片は先がとがり、緑がかった褐色。 側花弁は橙黄色。唇弁は内側に紅紫色の斑点がある(左下写真)
 名前の由来は花の色が熟した柿の実の色に似ていることによる。
 近年、乱獲や環境の変化により各地で個体数が減少している。

    

    カキランのつぼみ

写真2005.7.3寄合

     花後の包葉

写真2005.8.26上石黒

    果実期のカキラン

写真2005.8.26上石黒