イチョウウキゴケ
 石黒では未だ出会ったことはない。市街地周辺でも、初めての出会いである。調べてみると、イチョウウキゴケは一時、絶滅危惧T類に指定されたが現在では準絶滅危惧種にランクが下げられている。本種の自生もまばらに数十個見られたのみで密生した状態ではなかった。
 ウキクサと同様、水田の乾田化や農薬の使用により、激減した植物であろうが、イチョウウキゴケは子供の頃の筆者の記憶にはない。このことから、石黒には自生していなかったか、ごく稀にしか見られない植物であったと思われる。

写真2013.5.27下藤井


       まばらに見られるイチョウウキゴケ
写真2013.5.27下藤井

              成長過程
写真2013.6.22松美町 移植観察

解 説
ウキゴケ科
 日本全国の池や沼に見られる水草の一つ。雌雄同株。時には湿った土上にも発生する。
 とくに、多雪地帯に多いという報告もある。
 葉状体は緑色で扇状半円形となり、長さ1p、幅は約6mmほど。わずかに二股に分かれ中央には浅い溝がある。
 全体に丸みを帯び厚みがある。葉状体の裏面には線状で紫色の鱗片が多数みられる。水生のものではこの鱗片が仮根状に水中に垂れ下がる。泥土上に生ずるものでは鱗片が小さく白色の仮根が密生する。
 葉状体の断面を見ると隙間が多く気室は体全体にわたって存在する。
胞子嚢は葉状体の中央にうずもれたままで熟し雄器も葉状態にうずもれてできる。
 名前の由来は、葉状体の形がイチョウの葉に似ていることによる。