イヌホタルイ
暮らしとの関わり
 石黒でも、市街地でも休耕田でよく見かける植物であるが、ホタルイかイヌホタルイか迷った。いろいろ図鑑等を調べて次の事項からイヌホタルイとひとまず断定した。
 @小穂が細長いこと
 A柱頭が2裂する(左下写真)。ホタルイは3裂する。
 Bそう果の断面がレンズ型であること。ホタルイのそう果は3稜ある(未確認)
 また、小穂の上に伸びる苞の曲がりの角度や方向(小穂に対して内側・外側−市街地周辺のものは外側が多い)にもいろいろあるが、これは、どうやら同定上の手ががりにはならないようだ。
 ただ、苞の内側の溝については、イヌホタルイの特徴であるというデータを読んだ記憶があるがまだ、ホタルイと比較観察したことはない。→左上写真
 市街地周辺で筆者が見かけたものの大半がイヌホタルイであるようだ。
 故郷石黒で、子どもの頃、夏休みにさせられた畔草とりではカヤツリグサは多かったがイヌホタルイは稀にしか見られないせいか珍しく思ったように記憶する。
 イヌホタルイやホタルイはイグサ科と思っていたがカヤツリグサ科であることがわかり意外であった。調べてみるとイグサから進化したばかりの原始的なものであることが分かった。

写真2007.7.19 上石黒  右上2012.7.28田塚


     茎の基部に見られる退化した鞘状の葉

写真2007.7.19 上石黒



写真2007.7.19 上石黒

       茎の中の様子

写真撮影2012.8.3


解 説
カヤツリグサ科
 湿地または休耕田などに生える多年草。ホタルイの一変種
根はひげ根(左下写真)
 茎は、叢生し高さ40〜50cmほど、ホタルイよりやや太く細長く緑色でほぼ円柱形で葉は退化して茎の下部に鞘状につく(左下写真)
 果期は夏〜秋。茎の頂に無柄の長形の小穂数個をつける。は茎状で小穂の先に伸びて一見小穂が茎の途中についたように見える。苞が若干あるいは極端に茎と別方向に伸びる種もある(右写真)
 小穂は緑褐色の卵形で先は鈍形。長さ6〜9mm。中脈は緑色で先はわずかに尖る。花柱は2裂する(下写真)
 そう果は、ほぼ同じ長さの6個の刺し針状花被片をともない黒褐色でレンズ形。



    隣片の緑色の中脈

写真2007.7.19 上石黒

      2裂する柱頭

      そう果と種子

写真撮影2012.8.3

    5角形の茎断面

写真撮影2012.8.3