イヌゴマ
暮らしとの関わり
 石黒では出会ったことはない。市街地周辺でもたまに見かけるのみである。
 上の写真の個体は田塚で撮った。草薮の中にあっても、淡紅色の花が遠くからも目をひく。田塚の用水路の縁に生えていて高さは70cmほどもあった。

 名前の由来は種子が似ていて食べられないことによるものだそうだ。
 筆者が子供の頃は石黒では、どこの家でもゴマを栽培していた(→参照四季の農作業)。ゴマは茎も太く頑強な姿であるが、こちらは細く軟弱である。確かに葉や花の形は似ているが、肝心の種子は、それほど似ているとは思われない。どちらもシソ目であるがゴマはゴマ科でイヌゴマはシソ科である。

写真2012.7.17 田塚


         5裂し先が尖るガク

写真2012.7.17 田塚

          白色の長い根

写真2012.8.11 田塚

         海岸近くのイヌゴマ
写真2015.7.26松波町


解 説
シソ科
 北海道から九州のやや湿地に生える多年草。地中に白色の長い根を伸ばして繁殖する。
 茎は四角形で直立し30〜70cmほどでふつう枝分かれしない。茎のには下向きの棘があってざらつく。
 葉は三角状披針形(上写真)対生し、長さ4〜8cm、幅1〜2.5cm、短い柄があり葉の面にはシワがあり下面の中肋にもトゲがあってざらつく。
 花期は7〜8月。茎の先に花穂を出して淡紅色の唇形花を密に輪生し段をなして咲く。
 ガクは長さ6〜8mm、5裂し先は針状に鋭くとがる。
 花冠は長さ12〜15mm、下唇は3裂し内側に赤い点がある。雄しべの4個のうち2個が長い。
分果は長さ1.7mmほど(下写真)
 名前の由来はゴマに似て役立たないことによる。



    茎の下向きのトゲ
写真2012.7.17 田塚

         分果

写真2012.8.13 田塚