フデリンドウ
暮らしとの関わり
 フデリンドウは、石黒では希に見られる植物の一つである。秋のリンドウに比べて、きわめて小型で目にとまらないせいもあろうが希少植物であることは確かである。
 上記写真のフデリンドウは林の縁にある旧道の脇に咲いていた。フデリンドウが石黒地内にあることを初めて知人から聞いたときには、もっと大型のイメージを持っていただけに実物を見たときにはそのあまりにも小型であることに驚いた。
 2009.8.20に政栄夫妻が当地を訪れるとすでに春に開花した写真のフデリンドウの姿はなく、きわめて小さな新しい芽が発見された。
 越年草であるフデリンドウはすでに来春の開花に向けて地上に芽を出して生長を始めているのである。→右下写真
 フデリンドウの種子の散布は、種子を包む果実が雨に濡れると二つに裂けて開いて雨粒により叩き出され、流されることによるのだという。このような種子の散布の仕方からも植物の多様性には驚く。

(写真上 2009.4.30 寄合 撮影−政栄)

  
手袋の小指の大きさと比較したフデリンドウの大きさ


          
写真上 2009.4.30 寄合 政栄

 
   つぼみのころの草姿

写真上 2009.4.30 寄合 政栄

         5裂するガクと花冠

写真2009.4.30寄合 政栄

   ミズナラの葉と大きさの比較

写真2009.4.30寄合 政栄

解 説
リンドウ科
 北海道から九州に分布。日当たりのよい所に生える越年草
 根は細く地中に直下する。
 茎は直立し高さ5〜10p。茎の半ばから上に葉をつける。
 葉は対生し卵円形で先端はややとがり長さ5〜10o。葉質は厚く縁は白く裏面はやや赤紫色をおびることもある。(下写真)下面の主脈にがある〔下写真〕
 花期は4〜5月。茎の上部に青紫色で2〜2.5pの鐘形の花が数個上向きに集まってつく。
 ガクは緑色で5裂し、花冠は長鐘状で縁は5裂し(左下写真)、裂片の間には副裂片(下写真)がある。雄しべは5個、雌しべは1個、柱頭は2裂する。花は日中陽のあたっている時だけ開く。
 さく果は細長く、残存する花冠の上につき出て、円形の2片にさけて種子を露出し下部は長い柄となる。
 名前の由来は茎の頂上につく花の様子が筆の穂先を想わせることによる。



      葉の白い縁

写真上 2009.4.30 寄合

     葉裏の主脈の稜

写真上 2009.4.30 寄合

    開花前年の発芽

撮影日2009.8.20寄合 政栄
※スギの葉と比較するといかに小さな芽であるかが分かる。→2年かけて開花するフデリンドウ。

       副ガク片

写真2009.4.30寄合 政栄

     花期の終わり頃

写真2011.6.25寄合 政栄