ヒメムカシヨモギ
暮らしとの関わり
 石黒にヒメムカシヨモギが見られるようになったのは、昭和40年代からであろう。現在ではホウキの先ようなヒメムカシヨモギの姿がどこにでも見られるようになった。とはいえ、年々急激に増えている様子も見られない。
 上の写真は板畑集落の嶽の空き地に小さな群落を作ったヒメムカシヨモギである。
 その後、2006年の12月の初めに嶽〔黒姫山中腹〕にカンジキをかけて上った時に50p近い積雪中に茎上部を出したヒメムカシヨモギに出会った。おそらく夏に刈り取られて二番芽が出て育ったものであろう。ロゼット状で越冬する草だから寒さには強いことは分かっていても全然変色していない、そのみずみずしい姿に感動してしまったことをおぼえている〔右下写真〕。
 とかく、石黒のような多雪地帯に育った人間は雪の中で見る常緑の野草には特別な想いを抱くの者が多いのではなかろうか。

(写真上・右下2005.7.25板畑 右上2005.7.15大野) 


   葉の縁と主脈上に見られる毛

撮影2007.8.18大野

    オオアレチノギクとヒメムカシヨモギ(右)

撮影2007.8.18大野

        ヒメムカシヨモギの種子

撮影2005.8.25板畑

     鯖石川沿いのヒメムカシヨモギの群生

撮影2012.8.18藤井 背景は米山
                群 生
  写真 2018.7.27 長浜町

   オオアレチノギク(左)とヒメムカシヨモギ(右)

撮影2012.8.18藤井 背景は黒姫山
解 説
キク科
 日本全国に分布する北米原産の一年草ないし越年草。明治の初期に渡来し、「明治草」、「御維新草」などの異名がある。要注意外来植物
 茎は直立して1〜2mで葉茎ともに粗毛がある〔下写真〕
 根出葉はヘラ状で粗い鋸歯がある。茎葉は細長い皮針形で細かい鋸歯がまばらにある。
 花期は8〜10月。茎の上部で多数分枝してホウキ状〔大形の円錐花序〕になり3oほどの小さな頭花を多数つける。総包は鐘形。白色の舌状花が中心の管状花よりやや高いことが多種との区別点の一つ。
 果実には冠毛があり、ひんぱんに飛散するのは近縁の他種と同様である。
 酷似するオオアレチノギクとの区別点
@葉の縁や裏面脈状に長い毛がある。
A頭花全体がほっそりしている。〔オオアレチノギクは下ぶくれの形〕
B花びらがみえる。〔オオアレチノギクは総包にかくれて見えない〕−参考文献−栃尾の植物

 名前の由来は小さいムカシヨモギの意味。



  管状花より高い舌状花

写真2005.7.15大野

       茎の租毛

撮影2007.10.18大野

   雪中のヒメムカシヨモギ

撮影2006.12.2 板畑 嶽

オオアレチノギク(右)との茎の比較



撮影2012.8.18藤井