ヒメヒオウギズイセン | |
暮らしとのかかわり 本種は石黒では昔から屋敷内に普通に植えられていた園芸植物の一種である。 子どもの頃から、身近にあった植物であるが開花前は目だたずその存在に気づかなかったように思う。しかし、開花すると花の鮮烈な朱色が目を引いた。花は斜上した花茎につき、小ぶりでやや、うなだれたような恰好であるが、束生しているため、開花の盛りには見事であった。 石黒では、野生化状態の様子を目にしたことはないが、市内の海岸では道路の沿いの斜面などに野生化状態のものを普通にみかける。とくに西山海岸までの道沿いに多く見られる。 上の写真は先日(2015.7.10)に米山小学校の海浜植物園を見学した帰りに笠島海岸の道沿いで撮影したものである。 WEB上の情報によれば、佐賀県では移入規制種の指定を受け栽培が条例で禁止されているとのことだが、南国での野生化は凄まじいものであるのかもしれない。 写真2015.7.10笠島(上の木はエノキ) 花のつき方 写真2010.7.20上石黒 野生化した個体 写真2010.7.16西山海岸沿い道路 花壇に植えられたもの 写真2010.7.20上石黒 |
解 説 アヤメ科 ヒオウギズイセンとヒメトウショウブとの間に出来た雑種で明治中期に観賞用として渡来した。 繁殖力が強く庭に植えられたものが野生化したものが見られる。 高さ50〜80pほどの多年草。根茎は球形。 葉は繊維の多い鞘状葉でつつまれる。側方から細い鞘状葉を被った蔓枝を伸ばす。 茎は葉中から直立し二列に互生の葉が互いに接触している。 葉は広い線形で尖り硬質で直立し剣背がある。 花期は6〜8月。茎の上部に2〜3枝が分かち出て多数の鮮やかな朱色の花を穂状につける。花下の包は厚膜質で尖り紫色のぼかしがある。 花の径は2〜3pほど。花被は漏斗状で筒部は細長でやや曲がる。花被6個は半ば正開し、長楕円形で鈍頭、雄しべ3個は花被筒の内部に着生し、花糸は糸状、葯は線形で黄色。花柱も糸状で先端が3裂する。 さく果は円形で3室よりなり凹頭である。 名前の由来はヒオウギズイセンに似て小形であることによる。姫檜扇水仙 。 根茎 写真2002.10.22下石黒 剣背 写真2013.7.16西山
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