ヒカゲノカズラ | |
暮らしとの関わり ヒカゲノカズラは名前こそ知らなかったが子供の頃からよく目にしてきた植物である。 石黒では、日当たりのよい道端などにしばしばに見られるが、昭和の中頃に比べて個体数が減少している。もともとこの種は赤土のような場所を好むためか石黒では少ない。筆者の観察の限り、寄合地区の山砂の斜面によく見られるように思う 〔※ちなみに手元の古語辞典によると「ヒ」は日・太陽、カゲは「光」との解説が見られる。つまり、ここでの「ヒカゲ」は日向(ひなた)の意味である→名前の由来〕 地面を這っているその柔らかな杉の葉に似た茎を持ち上げてみると1mもの長さがあり驚いたものだった。 子供の頃、根をつけて採取してきて庭に植えたが育たなかった記憶がある。その姿形に子供の心を引きつける魅力があったのだろう。また、枯れても緑色を失わないことも子どもには不思議であった。 日本神話のひとつにある、天照大神が天の岩戸に隠れたとき、天宇受売命(あめのうづめのみこと)が全裸で踊ったときに身にまとっていたのがこのヒカゲノカズラであるという伝説もある。今でも神聖な植物として神事に使われる地方もあるという。「カミダスキ」という俗名もあるそうだ。 それにしても大人が身に纏うほどの長いヒカゲノカズラがあるのだろうかと思っていたが、昨年の春に290㎝もある長い個体とであった。大群生の中で根気よくたどって採取してみると290㎝もあったのには驚いた。→参考写真 ごく希に小群生に出会う。→参考画像クリック (写真上2005.9.29寄合 右上・下2005.7.3大野) 道端のヒカゲノカズラ 写真上2013.10.13落合 斜面を盛んに伸びていく様子 写真2013.10.8田塚 枝根と主茎と枝茎の葉の比較 写真上2009.11.29寄合 早春の頃 写真2012.3.29田塚 真冬の頃の様子 写真2013.12.29田塚 長い柄のある子嚢穂 写真2005.7.3寄合 小群生 写真2015.5.31田塚 種子散布期 写真2011.8.6田塚 |
解 説 ヒカゲノカズラ科 北海道から九州の各地の日当たりのよい林下や道端に見られる常緑性のツル性シダ植物。名前に反して日陰では生育しない。 茎は地上を這い、所々から根を出して広がり、群生する。長さ2mに達するものもある。主茎は葉が少ない。側枝は数回枝分かれし葉を密生する。 葉は針形で茎に開出し〔直角に〕、みんな同じ形で上は多少内側に曲がる。また、葉の先端は2㎜ほど糸状体になって終わる〔左下写真〕。葉の長さは糸状体をのぞき4~5㎜ほど。 6月頃、茎から直立した細茎の先に子嚢穂を2~4個つける。(左下写真) 名前の由来は、「日影」という言葉の意味はもともと「太陽の光」とか「日差し」の意味で、「日当たりのよいところに生えるカズラ」の意味。 ところどころから根を出す 写真上2009.11.29寄合 葉の様子 葉の先端の糸状体 写真2005.9.29寄合 子嚢穂の形 写真2005.7.3寄合 写真2005.7.3大野 胞子嚢の拡大 写真2005.7.3大野 胞子 写真2010.7.28寄合 花粉散布期 写真2010.7.28寄合 花粉の形と大きさ 写真2012.7.23 胞子散布後 冬の様子(常緑) 写真2014.2.2茨目 |