ハナゴケ(コアカミゴケ他)
 カラムシ街道市の数日前(2014.11.6頃)石黒の山小屋が展示会場の一つに使われることになり、そのため庭掃除に数日通った。
 その時に池の南側の庭石上の白いコケが目をひいた。以前にも何度か見たことがあるような気がするが。今回とくに関心をもったのは真紅の花のようなものが見えたからである。
 さっそく十数枚の写真を撮って持ち帰りコケ・シダ図鑑で調べたがそれらしいものは掲載されていなかった。
 しばらく、そのまま放置しておいたが、今日(2014.12.27)WEB上で調べてみるとコケではなく地衣類の生物であった。
 地衣類は単独の生物ではなく菌類であるが個体内部に藻類をもちその光合成の生産物をもらい、自分は藻類に水分を供給する共生植物とのこと。しかし、生殖は菌類がおこなうことから分類学上は菌類と扱われるそうである。
 また、地衣類は極寒の地や火山周辺など厳しい環境に耐えることができる一方、大気汚染に弱く車の排気ガスなどによる指標生物としても利用されるという。現在、国内では1600種の地衣類が確認されているといわれる。
 ところで、WEB上の岐阜大学教育学部理科教育データベースに掲載されているハナゴケ科の各種の形態写真を見ると、本ページに掲載の地衣類には少なくとも三種類が混在しているようにも見える。
 分類学的に見れは菌類-きのこの部に掲載するべきかもしれないがひとまず野草の部に入れた。
 とかく、我々は自分の身丈に合った大きさの植物には詳しいが極小のコケ類や地衣類には目が向けない。時には小昆虫の目線になって地上や岩上を散策したいものである。
 今(2014.12.27)では、石黒の現地は2m余の雪に覆われてしまっているが、来年にはもう少し詳しく観察してみたいものだ。

 写真2014.11.6下石黒


   ハナゴケの様子-周囲の緑色のコケはスナゴケであろう




写真2014.11.6下石黒

解 説
ハナゴケ科
 日本に見られる代表的な地衣類。地表、岩上、樹皮上に着生するものが多い。
 地衣類は菌類と藻類からなる共生生物であり植物ではない。小さいこと、光合成生物である点はコケ植物に似ているがその個体を構成しているのは菌類である。菌類は光合成できないので単独では生きられないが地衣類は構造の内部に藻類があり共生する。(しかし、学術上では菌類として扱う)。
 繁殖は有性生殖無性生殖がある。有性生殖の多くは子嚢菌による。子嚢胞子は小さなキノコ上の子実体をつくりそこで形成される。子実体の形は皿状、つぼ状溝状があり胞子はその内部の子嚢の中で形成され上に放出される。放出した胞子は好適な場所で発芽すると藻類を取り込んで成長する。
 無性生殖の器官は地衣体の一部を粒状や紛状にして分離散布するものがある。この場合は内部に既に藻類をもっているのですぐに成長を始めることができる。



     ハナゴケの様子2



写真2014.11.6下石黒

 根元に葉状のものも見られる
写真2014.11.6下石黒

  毎年生え続けている

 写真2016.11.8下石黒